一人法人での役員への社宅貸与について
代表者一人のみの法人を経営しております。今般自宅を買い替えるのにあたり、法人名義で中古住宅を購入して代表者に社宅として賃貸することを検討しています。この際賃料の定め方は他の相談等を見て理解したのですが、上記の行為が「同族会社の行為又は計算の否認」に該当する恐れはありますか?もし無いのであれば、リフォーム代金も会社負担で施工することが可能ですか?
ご教唆よろしくお願いします。
税理士の回答
(1)同族会社の行為又は計算の否認(法人税法132条)
この規定は、同族会社が法人税の負担を不当に減少させる結果となる行為又は計算を行った時は、『他の規定で適法であっても』、税務署長が否認できるという規定です。
(2)役員社宅の規定
役員社宅の規定は、所得税法基本通達36の40~42に規定されているもので、法人が役員に住宅を供与する経済的利益のうち『一定のものが給与として課税されない』という規定です。
(3)考え方
法人が所有する不動産を社宅として社長に貸与した場合、基本の考え方は次のようなります。
①法人が所有する不動産のコスト(減価償却・維持管理費・リフォーム)は、法人の費用となる。
②社長が法人から受けた利益(=住宅の貸与)は経済的利益と言われ、原則は、給与として所得税が課税される。
③ただし、一定の(適正な)家賃を法人に支払っていれば経済的利益は無いと考え、給与として所得税は課税されない。
(4)役員社宅の社長貸与の判断
上記(2)の要件に該当する社宅の貸与は、社長が適正な家賃を負担していれば経済的利益についての所得税課税はしないという取扱いです。
この考え方のように、役員社宅の要件に合致してれば課税はされず、合致していなければ課税されるという取扱いですので、(1)を根拠に否認されるということはないと考えます。
ただし、役員住宅の規定では、社長個人の趣味嗜好を著しく反映した設備を有するなどの場合は豪華社宅と考えられ、社長負担家賃が時価(実勢価額)の家賃より低いときは、その差額が給与として課税されることになっていますので、その点はご留意ください。
よろしくお願いいたします。
詳しい解説ありがとうございます。法人所有のメリットは多分にありそうですね!疑問がすっきり解消しました。ありがとうございました。
本投稿は、2016年06月17日 15時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。