法人の建物明渡請求訴訟について
いつもお世話になっています。
法人が無償にて、元役員に土地・建物を貸していましたが、建物明渡請求により、約5,000万円で裁判上の和解となる見込みです。
この場合、法人側では、土地・建物の時価約8,000万円にて元役員に対して売却し、差額を寄付金として処理、元役員側では(時価-和解金-50万円)×1/2を一時所得として処理、という考え方でよろしいでしょうか?
裁判上の和解なので、寄付金、一時所得を計算しなくてよい、ということはないと思いますがどうなのでしょうか?
また、元役員側では時効取得を主張していますが、時効取得と売買とした場合、何か処理が異なるのでしょうか?
すいません、わかりづらい文ですが、ご指導願います。
税理士の回答
東京都中央区の小林税理士事務所 小林拓未と申します。
時価8,000万円の土地建物を、元役員に対して、5,000万円で売却、ということですが、仮に、現在の簿価が建物1,000万円、土地4,000万円とすると(消費税は無視します)、
現金預金5,000万/建物1,000万円
*************/土地4,000万円
と仕訳しますが、
現金預金5,000万/建物1,000万円
*************/土地4,000万円
寄付金3,000万円/固定資産売却益3,000万円
とされるのが、税務の考え方であり、元役員に対しては、寄付金3,000万円に対応する金額が、一時所得となります。これらは、いずれも、ご質問の通りです。
ただし、裁判で和解した金額5,000万円は、利害の対立する者が交渉して決着した金額であり、これは、市場価格そのものと考えられます。裁判が、土地建物の価格だけで争っているのか、また違う要因があるのか、にもよりますが、裁判で和解した額こそが時価という主張も成り立ちます。時価8,000万円とお考えになる根拠はありますでしょうか。元役員が占有している物件であれば、単なる土地建物とは違い、ある程度の減額はなされるべきだと考えます。
金額も大きいので、顧問税理士と、税務署に事前相談行くべき案件と存じます。最も不利な結果が、上記の寄付金/売却益3,000万円の課税であり、売却益には課税され、寄付金には限度額計算を行わなければなりません。和解額=時価、という主張が認められたら、税額が大きく変わってきます。
また、元役員は、時効取得を主張されているようですが、これが認められますと、対価なしで、土地建物を取得することになります。
その場合は、
寄付金5,000万/建物1,000万円
*************/土地4,000万円
あるいは、
寄付金5,000万/建物1,000万円
*************/土地4,000万円
寄付金3,000万円/固定資産売却益3,000万円
と処理することになり、元役員は、一時所得の額が、増えることになります。
以上よろしくお願いいたします。
返答、ありがとうございます。時価8,000万円の根拠ですが、相続税評価額÷80%、近隣の公示価格、国土交通省の不動産取引価格の平均額で計算していました。会社上の土地の簿価が5800万円ですので、和解額=時価であれば、売却損800万円で済む、ということですね。ありがとうございます、大変参考になりました、近日中に所轄の税務署に行って聞いてきます。
本投稿は、2016年11月02日 18時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。