海外赴任で現地通貨の給与を、日本の本人名義の口座に現地通貨で送金の際、日本で税が発生しますか?
海外赴任の主人が、急病で日本で治療を受けなくてはならなくなり、現地に戻れません。今まで現地通貨で給与が現地口座に振り込まれていましたが、それを日本の本人名義の口座に、現地通貨で送金した場合、日本で税金を払わないといけないのでしょうか。主人はまだ住民票は日本に戻していません。
もし税が発生する場合、
1.税務署は、どのように送金を把握しますか?
現在、送金先日本の銀行には、マイナンバーは登録していません
2.税を払う場合の税率、現地通貨はどのように計算しますか?
3.税を払う場合、現地給与だと証明するために準備すべきものは?
4.海外から送金する場合、一度にいくらまでなど、節税で気をつける点はありますか?
5.以上の質問を、身元が分からないよう居住区域外の税務署に相談するのは、結局現住所がわかってしまい(何か携帯番号などで照合されるのでしょうか)、墓穴を掘ることになるのでしょうか?
6.節税対策の相談は、有償の場合は、居住区域内で探す方が、税理士さんもその区の税務署をよくわかっているので、良いのでしょうか。
以上、難問かと思われますが、どなたがお時間を割いて助言を下さる方、よろしくお願い致します。
税理士の回答

米森まつ美
ご主人がまだ「海外赴任」の命令が解除されていない場合、ご主人は「非居住者」に該当します。
現地口座から日本の口座への資金の異動に関して、課税は発生しません。
しかし、ご主人が病気とはいえ日本に滞在してる期間に受ける給与は、日本での課税が発生します。
給与の支払者が日本の法人であれば、日本の法人は給与の支払時に20.42%の源泉徴収が、支払者が日本に事務所などを有していない場合は、確定申告をすることになります。
ただし、給与の支払先が日本の会社の支店や事務所ではなく、別会社(海外赴任先が、子会社や関連会社)の場合で、赴任先の居住国と日本国との間で租税条約が締結される時には、条約の内容によっては「短期滞在者免税」の対象となる可能性があります。
ご主人の会社の経理の方などに、確認をされることをお勧めします。

米森まつ美
長くなるようでしたので、分割して回答しています。
「課税になるようでしたら」というご質問に関しては、口座間の資金移動に関して課税はありませんが、少しだけ説明します。
1 100万円を超える海外送受金は、銀行は「支払調書」を税務署に提出する義務がありますので、当該「支払調書」により税務署が把握します。
その他、稀ではあると思いますが、各税務署においても調査等によりその関連から海外送金などを把握することもあります。
2 税金を支払う際の換金は、給与の支払時のTTB(買相場)で換算して、計算がされます。
3 給与の支払明細などで確認します。
4 100万円以上の送金の場合、税務署から「お尋ね」が送られることがあります。回答が面倒な場合は、100万円未満にされた方が良いと思います。
5 税務署では、所轄の納税者からの質問を事前予約の上面接により行います。そのため、匿名でのご相談は受け付けないことになっています。
考え方など一般的なことは、税務相談室(電話)で行うことができます。電話相談の時は、匿名でも特に問題はありません。
6 節税対策で税理士をお探しの場合は、なるべくコミュニケーションを取りやすくするため、お近くの先生を探す方が多くいらっしゃいます。
【蛇足ですが】
先の回答の最後に「会社の経理の方に確認を」としましたのは、
給与の支払者が誰であるか
赴任先が、会社の支店であるか別会社であるか
ご主人の給与負担はどこがしているのか により
課税関係が異なるとともに、源泉徴収が必要な場合は、会社の事務になるからです。
例えば、海外支店からの給与の場合は、支店が支払った翌月末日までに源泉所得税を納税しないといけない義務が会社には発生します。
※「短期滞在者免税」は該当しなケースがほとんどです。
また、別会社の場合であっても、「海外赴任者」の給与の負担が、日本の会社の負担となっている場合も「短期滞在者免税」も該当しないケースがあります。
会社からの「命令」や会社内部の取扱いの問題も生じますので、貴女が税務署に相談に行くのではなく、会社が所轄の税務署に、会社の源泉徴収の必要性や納税の他、貴女(ご主人)の納税や手続きも含めて確認してもらう方が確実だと思います。
以上参考にしてください。
長い愚問へのご丁寧なご回答、誠に感謝申し上げます。
長い間どなたもご回答されなかったので、諦め掛けていました。よって、お礼が遅くなり、大変申し訳ございませんでした。
主人の会社は日本に本社があり、その海外事務所での勤務です。給与は、本社が支払っています。状況の説明不足で、米森先生に仮の状況のご配慮まで頂いてしまいました。申し訳ございません。
まずは主人に、本社の経理の人に問い合わせるよう促します。
また、私どもの住所を管轄する税務署に相談する事も念頭にありましたが、会社が所轄の税務署に、聞くのが良いとお聞きし、大変参考になりました。
ご丁寧に二回に分けてご回答いただき、誠に、感謝しきれません。主人と参考にさせていただきます。
どうぞご自愛なさって下さい。
残念ながら千葉県柏は遠いので、ご挨拶申し上げかねますが、頂いた助言を大切に今後向き合って参りたいと思います。
この度は誠にご回答ありがとうございました。

米森まつ美
ベストアンサーとご丁寧なお礼の言葉を頂き恐縮です。
日本の本社が給与を支払っているのであれば、会社は、非居住者に対する給与の支払として20.42%の源泉徴収をする義務があります。(短期免税などは該当しないと思われます)
但しこのままですと、居住地国でも課税の対象となるため二重課税の問題が生じます。
そこで、ご主人の居住地国と日本国の間で租税条約を締結している場合は、日本の国内源泉所得として課税された税額に関しては居住地国の「外国税額控除」の対象となります。
先ほど会社が源泉徴収が必要になると回答しましたが、併せて会社は(会社を通じて)「源泉徴収された所得税の納税証明願」を税務署に申請し、ご主人の給与にかかる税額が日本でも課税・納税されていることを証明してもらう必要があります。
この証明書がないとご主人は「外国税額控除」を受けられないことになります。
国税庁HPから
「源泉所得税のあらまし」の非居住者の課税関係の説明箇所及び、「納税証明願」の様式を紹介します。
「源泉所得税のあらまし」は7枚目(P275)の一覧表及び43枚目(P311~)の給与にかかる説明が掲載されています。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2021/pdf/12.pdf
「納税証明願」は2枚作成して申請してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_31.htm
更なる詳細な教えを頂き恐縮しております。誠に感謝申し上げます。
HPも見てみました。
恐らく申請には不備が生じるかと思いますので、所轄の税務署にお聞きしてみようかと思います。
この度は、ご親切に、更なる詳細なご回答をいただき、米森先生の貴重なお時間を割いてくださり、誠に有難うございました!

米森まつ美
丁寧なお礼ありがとうございます。
なお、源泉所得税の国際関係は、税務署によっては職員のレベルが異なります。(私の職員としての経験です)
東京国税局管内であれば、麹町、神田、日本橋、麻布、京橋、芝、品川、渋谷四谷署などの職員であれば、国際関係の質問に触れていますので、回答できる職員が対応できるかも知れませんが、所轄の納税者でない場合は、個別質問に対して対応できないはずです。
また、源泉所得税の関係の質問は、源泉徴収義務者(会社)の所轄税務署が面接により回答することになっています。(相談者は源泉徴収義務者になります)
そのような状況ですので、一般的な質問としてであれば、税務署ではなく税務相談室の方が良いかもしてません。(税務署に電話をして「1」を選択すると回してくれます)
参考にしてください。
更に新たな詳細をお教えくださって、有難うございます!
税務署の職員の方の回答レベルが違うのですね。本社は東京なので、米森先生が挙げられた署に該当します。
税務相談室で、一般的なお問い合わせを致したいと思います。
ご丁寧に、惜しみなくお教えくださり、重ね重ね、感謝申し上げます。
これからもお体にお気をつけて、ご活躍なさって下さい!
この度は、私の愚問に惜しみなくお付き合い下さって誠に有難うございました!

米森まつ美
少しでもお役に立てましたら幸甚です。
本投稿は、2022年06月16日 21時29分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。