妻の個人事業を夫へ引継ぐ場合の問題について
現在、個人事業主として自分の名義で飲食店を営んでおり、確定申告も毎年自分の名前で行っておりますが、実質的な経営はすべて夫が担っております。
そこで考えているのは、名前だけの個人事業主である私は廃業し、今後は夫に夫名義で事業を引き継いでもらうということです。
しかし調べていると、夫が個人事業主として引き継ぐ場合、夫に私の資産(店舗の在庫や備品)を贈与することになり、贈与税が発生するかもしれないようです。
また将来的には法人成りも予定していることもあり、事業を引き継いでもらう方法として、2つの方法を検討しています。
①個人事業主として事業を引き継いでもらうのではなく、まず私が法人成りをし、一旦は私が代表取締役となるが、その後、夫に代表取締役を代わってもらうことで、法人として事業を引き継いでもらう。
②夫が自分で代表取締役となる会社を設立し、私は個人事業を廃業する。それ以後は、夫の会社が法人として私の事業を引き継いで行う。
そこで質問なのですが、
①の場合、法人の代表者が代わるだけなので、贈与税の対象にはならないでしょうか?
②の場合、夫の会社(法人)が他人(私)の事業を勝手に始めることはできず、私の個人事業を始めるなら買収などにより対価が必要でしょうか?
宜しくお願い致します。
税理士の回答

個人事業を引き継ぐ場合は、相続でない限り、通常、事業譲渡という形態となります。譲受者が個人であっても法人であっても同様です。
したがって、ご主人に無償で譲渡するから「贈与」となってしまうわけです。時価で譲渡すればいいことになります。ただし、譲渡所得は発生することになりますが。
同様に、①の場合でも②の場合でも、現物出資でない限り、法人に事業を譲渡する形になります。
土師先生
ご回答をいただきありがとうございます。
やはり基本的には譲渡という形になるのですね。
①については法人成りとなるため、法人に事業を譲渡して引き継ぐわけですが、この場合は時価ではなく簿価で引継ぎ=譲渡益は出ない、という認識でよろしいでしょうか?

法人に事業を譲渡する場合は、「時価」で行う必要があります。
したがって、簿価から見ると、譲渡損や譲渡益が発生します。
ただし、譲渡側の個人では、以下のような特例があります。
・「棚卸資産」を通常販売される価額の70%に相当する金額に満たない金額で譲渡した場合においては、事業所得の金額の計算上、70%に相当する金額で譲渡があったものとして取り扱います。
・「固定資産」については、資産の譲渡時における価額の2分の1に満たない価額により譲渡した場合には、「譲渡所得」の計算上、時価により譲渡したものとして取り扱います。
なお、上記の場合であっても、法人側は「時価」で引き継いだことになります。
土師先生
丁寧なご回答ありがとうございます。
譲渡側の個人にはそのような特例があるのね。
参考にさせていただき、どの方法にするか検討しようと思います。
ありがとうございました。
本投稿は、2023年06月29日 13時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。