扶養家族である妻の印税収入の申告について
夫(私)は、給与所得だけで年末調整で済んでいたので、土地売却収入があった時以外は確定申告の経験はありません。
妻は専業主婦で、所得はなかったため、夫(私)の扶養家族となっています。
扶養家族である妻が、趣味で絵本や挿絵を描き始め、印税収入などが入るようになりました。
印税(および原稿料)収入は、経費を差し引かなければ、百数十万円ぐらいになりそうです。
妻の絵の制作のための資料や道具類(経費のすべて)は、夫(私)が支払っています。
また、夫(私)は、妻に絵を教え、制作の指導をしています。
このような仕事は、何に分類すれば良いのでしょうか? 個人事業?フリーランス?
妻の印税収入(出版社で源泉徴収済)は、どのように確定申告すれば良いのでしょうか?
夫(私)の副収入と扶養家族である妻の収入に分けるべきなのでしょうか?
夫(私)が支払った経費は、妻の仕事の経費にできるのでしょうか?
妻の制作は自宅での作業ですが、光熱費なども経費にできるのでしょうか?
確定申告までに、何をすれば良いのでしょうか?
「弥生の青色申告」を無料体験中ですが、白色、青色の区別さえわかっていません。
税理士の回答

回答します
① 誰の所得となるのか
奥様の印税収入は奥様の所得になります。
ご主人様の副収入にはなりませんので、分ける必要はではないと思われます。
② 青色・白色区分について
青色申告とは、事業所得者などで「青色申告書承認申請書」を提出した場合、青色申告をすることができます。提出には期限などのあります。
青色申告特別控除などの特典があります。
申請をされていない場合は、白色となります。
③ 所得区分について
「フリーランス」であっても、その収入が給与でない限り、お尋ねの収入は事業所得又は雑所得に区分されると解されます。
所得税法上は、その所得の性格によって区分され、所得計算の方法が異なります。
事業所得と雑所得については、原則計算方法は同じですが、青色申請などができるか否かなど、その取扱いが異なることになります。
さて、奥様の収入の所得区分は、今後も絵本や挿絵のお仕事を継続的に行う場合は「事業所得」となります。しかし、今年1年だけで今後はそれらのお仕事を継続されないようであれば「雑所得」として考えられるのではないでしょうか。
なお、事業所得の定義は税法上にはありませんが、裁判例で
「自己の計算と危険によって独立して営まれ営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位が客観的に認められる業務から生じる所得」とされています。
④ 経費について
生計を一にする家族が支払った事業所得にかかる経費は、その事業所得の経費にすることができます。
光熱費なども必要経費にすることはできますが、按分計算をした上での経費計上になります。
時間や使用状況などにより、按分することをお勧めいたします。
⑤ 今後行うことなど
【ご主人】
奥様が、扶養から外れる可能性があります。
年末調整時には間に合わない場合は、年明けに奥様の所得金額が確定した段階で、「再年末調整」又は「確定申告」で所得税の計算を再計算することになります。
また、税務上だけではなく、社会保険の扶養から外れる可能性もありますので、会社が加入している社会保険組合の担当の方に相談されることをお勧めします。
【奥様】
事業所得になる場合は「個人事業の開業届出書」の提出が必要です。
「青色申告承認申請書」の提出もお勧めいたします。青色に関しては今年の分は間に合いませんので、来年から適用申請になります。
来年の所得税確定申告時期(2/16~3/15)に、確定申告書を提出いたします。
なお、所得金額を計算した結果48万円以下の場合は所得税の確定申告義務はありませんが、源泉所得税が還付になる可能性がありますので、確定申告をお勧めいたします。
国税庁HPから届出関係の説明箇所等を添付します
「新たに事業を始めたときの届出等」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
「青色申告制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
本投稿は、2021年12月19日 08時52分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。