海外勤務で得た外貨を送金する場合の為替差損益について
海外在住30年で近々本帰国を考えています。
海外で勤務し外貨で得た収入を原資として預金、株式および不動産の資産があります。今後、本帰国に際して資産をすべて現金化して日本の銀行口座に送金する場合の為替差損席の考え方について、本税務相談の回答内容や税務署に問い合わせた結果がまちまちでどれが本当なのか迷っています。
下の4つのケースの内、1と2は日本の非居住者なので税金はかからないという理解です。(税務署に電話で確認した結果です)
3と4について、税務署に電話確認した結果、「為替差損益は往復の為替差で発生するものであり、外国で外貨で得た収入(資産)を円転しても往復ではなく一方通行の為替なので、為替差損益は発生しない」との回答でした。
しかし、この税務相談の回答の中には、税務署と同じ内容に回答がある一方、次のような回答もあります。
回答例:
『為替差損益とは、通貨の交換の際に発生するものですので、「日本円→現地通貨→日本円」のような一般的には異なる通貨の交換(往復)により発生するもののケースだけではなく、「売買・役務の提供等で外貨を取得→日本円に交換」の際にも発生するとされています。したがって、ドル建て給料を原資とする外貨預金を日本円に交換した場合には為替差損益が発生します。
過去のレートは、給料が入金された時のレートを逐次拾っていくことになります。この場合に、出金して消費している場合もありますので、年の総平均法で計算するのが普通です。
「日本円→外貨→日本円」の場合しか為替差益は発生しないという認識の方が多くおられるのは事実です。昨年でしたか、海外在住の方で日本に帰国された方が外貨預金を日本円に交換した時に、税務署に多額の為替差益の申告漏れを指摘されたとの相談があり、税務署の指摘は正しいと説明したことがあります。』
最近の円安に加え、海外資産が1億円以上あり、為替差損益が発生するとすればその影響が大きく、税理士によって回答がまちまちで混乱しています。正解を教えてください。
為替のタイミングの4つのケース
1.海外居住者(日本非居住者)の状態で円転し、日本の円口座に送金する
2.海外居住者(日本非居住者)の状態で、外貨のまま日本の外貨口座に送金し、
その後複数回に分けて円転する
3.本帰国し日本居住者になった後で、外国で円転した後に日本の円口座に送金する
4.本帰国し日本居住者になった後で、外貨のまま日本の外貨口座に送金し、都度
円転する
税理士の回答

石割由紀人
ご認識の通り、ケース1と2は非居住者期間中の取引のため、日本では課税対象となりません。ケース3と4は、居住者になってからの円転となるため、為替差損益が発生し、所得税の課税対象となります。
税務署の「往復の為替差」という説明は、為替差損益の発生を誤解させる可能性があります。為替差損益は、外貨を取得した時点と円転した時点の為替レートの差によって発生します。外貨預金や外貨建て資産を円転する際は、取得時のレートと円転時のレートを比較して計算する必要があります。
ご質問のケースでは、外貨を取得した時点(給与取得時、株式購入時、不動産購入時など)と、円転した時点の為替レートの差が、為替差損益として認識されます。
早速の回答ありがとうございます。
ケース1、2については私の理解通りで問題ないとのことで安心しました。
しかし、ケース3、4について為替差損益が発生するという点については、まだ納得しきれませんん。例えば、質問者が外国人で今後はじめて日本の居住者になって、住民登録→住民票取得→携帯電話契約→銀行口座開設を行った後、母国での得た外貨を日本の銀行口座に送金後円転(または円転後送金)を行った場合、為替差損益という考え方が適用されるのですか? もし、そうだとしたら、日本に居住の外国人はほとんど上のて手順で滞在していると思うのですが、全員、為替差損益、つまり母国で生まれてから日本居住者となって円転するまでのすべての収入と為替レートを基準に計算するのですか? 信じられないですよね。 課税には国籍は無関係で、居住者か否かが判断基準だと思っていますが、この理解が正しければ、私のように30年間海外生活者と生粋の外国人とで為替差損益の適用は異なることは理解不能です。再度、教えてください。
追加質問への回答がないようなので、国税局電話相談室および品川税務署の2箇所に電話して再確認しました。(前回は上野税務署に確認したものです)
その結果、2箇所(最初の上野税務署を含めると3箇所すべて)で上のケース3、4で為替差損益は発生しないとの明確な回答でした。(3箇所とも会話内容を録音済)
品川税務署個人課税部門の担当者からはより詳しく教えていただき、日本の企業からの長期出張扱いや駐在で現地で外貨で収入を得ていた場合などでも源泉が国内とみなされる場合(判断条件の詳細不明)は為替差損益が発生する(収入を得た時点の為替レートを適用)とのことでしたが、私のように国内企業とは無関係で現地法人から外貨で収入を得ていた場合や個人事業主などでの収入に対しては為替差損益は発生しないとのことです。
なお、日本の居住者になった後に一括ではなく複数年に渡って都度送金・円転した場合、および海外で発行され海外の銀行で外貨で決済されるクレジットカードを帰国後も保持し、日本国内で使用した分についても為替差損益は発生しないとのことでした。
私の質問や関連質問を含め、為替差損益について為替差損益が発生するという回答をしている税理士さんがいるのが不思議です。法律があいまいでどちらにも解釈できることで税理士さんが誤解しているのでしょうか? それとも、国内の会社に籍をおいたまま駐在員として赴任していた場合に、現地での外貨給与の源泉が国内だと判断される場合だけを想定して回答していたからなのでしょうか?
本帰国が決定した時点で、所轄税務署で面談して最終確認するのが一番確実だと思いました。
本投稿は、2025年01月10日 16時47分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。