相続人代表者として農地の貸借契約を締結したが、母の払っている固定資産税と用水代は費用計上できますか?
要介護状態(最近認知症が重くなり要介護4、会話の認識はできる状態)で2年前から介護施設に入所している母が、父死亡後10年前くらいから口頭で農地(田んぼ、遺産分割ができていないため現在も父名義)を相続人代表者として貸していましたが、今回、私(長男)が「農地に関しての相続人代表者」となって、農業員会において正式に賃貸契約書作成し契約を締結しました。
3年契約で1ha(10,000㎡)年5万円です(農地は貸したい人が多く借り手が少ないため安いらしい)。
しかし、田んぼに使用する用水の代金は母の口座から毎年10万円引き落とされています。父と長年二人暮らしだった母が父の遺産全体(宅地や父名義の預貯金等)の相続人代表者になっているので、農地の用水代も毎年母の口座から10万円引き落とされているのです。また農地の固定資産税6万円も同様です。
母は口頭で10年前から貸していたようですが、農業員会では基本台帳においても貸借していないことになっているため、今回、私を相続人代表者として母を含めて(母には話をして署名してもらった)相続人全員の同意書を農業委員会に提出したうえで、契約書を作成し、農業委員会において契約締結した次第です。
私は、他に所得があるため毎年確定申告をしていますが、今年の分の確定申告において農地の貸賃5万円を計上し、用水代10万円、固定資産税6万円を費用(必要経費)として計上できますか?
費用(必要経費)計上できないと私が「農地に関しての相続人代表者」として農地を貸したことにより、私の払う税金が多くなり、実質損失になるため、費用計上したいのですが、認められるでしょうか?
お手数ですが、教えていただきたくお願いします。
税理士の回答

いずれの経費も必要経費に計上できると思います。

所有者はどなたなのですか?遺産分割協議、あるいは、遺言書によって所有者が確定されないのでしょうか?
確定されていればその方の申告対象に。
確定していなければ、法定相続人が法定相続割合でそれぞれの申告対象に。
これだけであれば確定申告不要ですが、既に確定申告されている方はこれも加えて、ただ、雑所得になるでしょうか。雑所得内で所得があれば通算できますね。
早々にお二人の先生からご回答いただきありがとうございます。お礼と、それぞれの先生に追加で教えていただきたくご質問させていただきたくお願いします。※上記「農業員会」は「農業委員会」の入力ミスでした。お詫びして訂正しておきます。
■富樫先生のご回答のとおりであれば安心します。その場合に、確定申告の際、収支内訳書に不動産収入5万円、必要経費(農地の用水代10万円、農地の固定資産税6万円)と記入するのでしょうか?
相田先生のご回答・ご質問に関しては、
■父がすでに死亡して遺産分割ができていないので、名義は父ですが、法的には母と私たち兄弟2人の共有になります。私(長男)が「農地に関しての相続人代表者に今回なった」ので、法定相続割合で申告となると、私は4分の1の申告(収入・必要経費とも)でよいのでしょうか?
また、私以外の法定相続人(母と妹)は20万円以上の申告所得がなく申告義務者ではないですが、法定相続割合分だけの確定申告をし、わずかの所得税・住民税の還付を受けることになるのでしょうか?
母と妹は申告義務がないので、確定申告しない場合は、私だけが法定相続割合の確定申告することになると農地を貸して支払う税金が増え、実質損失になります。また、母(88歳)はわずかな年金しか受け取っていなく、一度も確定申告をしていません。加えて要介護状態なので、私が、代わりに確定申告をしてあげる場合は所得税・住民税の還付を母が受けられるのでしょうか?
■雑所得であれば先生のおっしゃるように総合課税所得内で通算できるので問題ないですが、農地の賃貸借は不動産所得ではないでしょうか?額が少ないと雑所得になるという法規定・法解釈になるのでしょうか?額は少ないですが、収支内訳書作成・確定申告で不動産所得ではないでしょうか?
お手数をおかけして申し訳ありませんが、教えていただきたくお願いいたします。

農業所得の収支内訳書へ、上記の記載でよいと思います。

未分割であれば、法定相続割合に基づき、各自申告となりますね。他の法定相続人も確定申告の申告要件を充たしていれば申告することになります。
※給与所得者であれば、他の所得が20万以上。
ただ、今回は損、なので、結果的に申告不要となるでしょうか。
というのが理屈ですね。
ご自身分のみ申告となりましょうか。
手数も必要ですし、不動産所得として損益通算し、還付を受ける、といったものも煩雑かと思われますので。
所得は確かに不動産所得ですね。ただ、マイナスですので。
原則通り、不動産所得、自己に帰属する収入、経費分のみ申告されるのが正しくはあります。

経費も、法定相続割合で按分です。
お二人の先生から追加のご質問に関しても早速のご回答ありがとうございます。富樫先生と相田先生のご回答でだいたい理解できましたが、少し不明なところがあるので、お二人の先生に質問させてください。よろしくお願いします。
<質問1>農地の賃貸借の収入は、農地も不動産なので不動産所得と思っていましたが、不動産所得ではなく、「農業所得」なのですね?
よって、農業所得で確定申告をするのですね?
<質問2> 「農地の相続人代表者」は私になり(農業委員会への報告書で)、契約書は私が契約当事者(貸し手=実際は法定相続人の代表として)となり、私名義の銀行口座に毎年5万円振り込むという内容です。なお、母は10年くらい前から口約束で玄米を袋でもらっていました。
遺産分割がされていなく、私以外の法定相続人(母と妹)は所得税の申告義務がないので、私だけが確定申告すると収入も必要経費も法定相続割合で4分の1、すなわち収入12500円、必要経費用40000円(水代25000円 固定資産税15000円)となるのでしょうか?
何度もお手数ですが、よろしくお願いします。

農業所得、という所得区分はありません。
今回は、不動産所得です。
3 不動産所得
詳細はこちら
不動産所得とは、土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含みます。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。
4 事業所得
詳細はこちら
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得をいいます。
ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として不動産所得や山林所得になります。

玄米を現物で貰っていた。これも収入です。
これも割合で分割して申告することになりますね。
収入も、経費も法定相続割合で、となるとトントンになるでしょうか。

収支内訳書(農業所得用)がありますので、その様式となります。
不動産所得ではありません。
玄米の評価額も収入に記載します。
相田先生と富樫先生へ。早々のご回答ありがとうございます。先生方のご回答で少し理解が進みましたが、もう少し分からないことがあるので、お手数ですが、教えてください
<質問1>収支内訳書の「事業所得」の「農業」に記載して申告するのが正しいような気がしますが、農地と言えども不動産の賃貸借なので不動産所得として確定申告するということなのですか?
。
<質問2>玄米でもらっていたのは、農地を含めて相続人代表者が母として届けていた10年間であり、この間も玄米60キログラム(らしい)なので、用水代と固定資産税を合わせるとマイナスとなり、赤字になっていますが、5年前に遡って、母が還付の申告をする(母は介護施設入所なので実際は私が代理)ことで、税還付を受けるのことができるのでしょうか?
また、玄米60㎏をもらっていたというのは、母から聞いていただけなので、証拠も証明書もありません。また、「玄米の現金への換算率」も不明なので現金に換算するといくらになるか、はどのようにしたらいいでしょうか?
<質問3>上記の<質問2>に記載した申告時の収入金額(12500円)と必要経費の金額(40000円)のとおり私は来年の確定申告時に確定申告すればよいのですね?
<訂正します>
<質問1>の収支内訳書は間違いでした。確定申告書が正しいです。訂正します。

・一般的には、農業所得の雑収入のようです。必要経費がスッキリします。不動産所得でも結果は同じですが。
・還付は可能と思います。1反1俵程度は相場と思います。卸価格でしょうか。
・確定申告で問題ないと思います。

賃貸借契約、ですよね。確か。
事業では無く。そもそもが。農業してないのですよね。
ここが何故論点になるのでしょうか。。謎ですね。
収入を計算するのは申告者の責任。実態も本人しか知らないわけですし。なので、申告は少なくとも所得は生じていない。であれば、申告しない、というのが無難かとは存じますが。
先生方の度重なる親切な、しかも迅速なご回答、有り難く感謝申し上げます。大変参考になりました。いずれにしても、私が「農地に関する今回の相続人代表者」として「農業委員会」において正式に「農地の貸借契約書」の作成・契約の締結・農業委員会への正式な届出ができて、しかも、先生方のご回答を総合して考えますと、少なくとも私が確定申告の際、当該農地の貸借料50000円に関しては必要経費の方が大きいため、損失が発生することはないことが分かり、安心しました。
過去5年に遡っての還付請求(私が母の代理で)は、分からないことも多く、しないことにします。
平成30年の所得税の確定申告については、事業所得の「農業」に12500円と入力、収支内訳書(農業所得用)に必要経費40000円と入力し、他の所得と「損益通算」し、確定申告しようと思います。
税務署から照会があった時は、「法定相続割合のみ申告」等、先生方のご回答にあったことなどを参考に、回答したいと思います。
本当に、何度ものご照会に対して親切に、迅速・具体的にご対応いただき、心よりうれしくお礼申し上げます。

全額の収入・経費の申告で問題ないと思います。
農業の後継者が、父⇒母⇒ご質問者、と移転しているため。
富樫先生、夜遅くにご親切に、しかも具体的なご回答をいただき、ありがとうございました。
全額の収入・経費で来年の確定申告時期に事業所得「農業」、収支内訳書(農業所得用)に入力し、他の所得と損益通算して確定申告書を作成して申告いたします。
自分で考えて、どうなんだろう、と迷って、しかし思い切って相談して良かったです。安心しました。
本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。

税務は実態に即します。
実態は賃貸借ですから。不動産賃貸借ですね。
本投稿は、2018年08月09日 15時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。