過去の譲渡損益の申告について
【経緯】
令和元年の確定申告をした後に税務署から株式譲渡益についてのお尋ねという手紙が届きました。
令和元年だけでなく、過去10年近く株式の取引が多少なりともあるのですが、特定口座の源泉徴収なしにしていましたが、確定申告で譲渡損益を申告できていなかったようです。
もちろん、利益が出た年もありますが、どちらかというと過去は損失の方が大きい状況です。
証券会社に問い合わせても過去5年分までしか年間取引報告書の再発行もできず、正直過去の譲渡損益を調べ直して確定申告を修正するのも難しい状況です。
【ご質問】
ご質問①
この場合、以下のような対処で特に大きな問題はないでしょうか?
対応案:証券会社からは5年分の取引報告書は再送できるので、5年分だけは確定申告し直して、それ以前は現実的に調べられないとして税務署にご容赦いただく。
ご質問②
上記対応で問題がある場合、どのように対処すべきかご教示ください。
ご質問③
当方の過去の譲渡損益が申告できていなかった点について、税務署として大きな問題と認識することはあるでしょうか?
何卒宜しくお願い致します。
税理士の回答

毎年税務署に確定申告書(株式譲渡は特定口座で源泉なし分の申告はされていない)の提出をされていると仮定して回答いたします。
仮想隠蔽等の事実がなければ、税務調査は通常5年間行います。
特定口座源泉なしの株式譲渡口座は毎年確定申告をすることが必要がありますが、(特定口座の報告書が毎年の損益が報告されていますから)毎年赤字であれば株の譲渡の税金の発生しませんので確定申告書で申告をしなくても問題はありません。
黒字がある年の場合には、利益の20.42%の所得税の納付必要になります。
毎年株の譲渡を申告していれば赤字があった場合に、3年間の繰越の損失が認められています。繰越の赤字は、当初申告での選択になりますから、後からは変更はできません。
とりあえず、5年間の特定口座報告書を証券会社から取って黒字の年の修正申告の相談を税務署等にされることをお勧めいたします。
浪間規先生、大変丁寧にご教示いただきありがとうございます。
毎年税務署に確定申告は提出してますが、特定口座源泉徴収なしで株式譲渡損益のみ申告ができていませんでした。
5年間の内、当初3年程(平成27〜29年)は譲渡損失の状態ですが、今から5年間の更正の請求をして過去の株式譲渡損を繰り越して令和元年の譲渡益と相殺することはできないでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

残念ながら更正の請求の構成要件外なので認められません。
浪間規先生、ご教示いただきありがとうございます。
租税特別措置法通達37の12の2-5の記載を見ますと、確定申告書を提出している場合(譲渡損失の申告無し)で、特定口座(源泉徴収なし)の場合は、更正の請求をすれば、損失があったこととされるようにも読めますが、解釈が誤っていますでしょうか。
国税庁
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/020624/sanrin/1273/37_12_2/01.htm
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

貴重な例示をありがとうございます。
2-5は申告時の意思がどうであったか書類の提出(計算明細書の提出等がされている)の有無で判断していると思います。申告時に(書類等の提出がなく)何もしないと判断されると思います。
参考までに国税不服審判所の2016.12.2の裁決事例をご覧ください。
浪間規先生、判決事例についても例示いただき、ありがとうございます。助言を参考にさせていただき、対応いたします。
本投稿は、2020年09月12日 09時14分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。