母国に住む親から贈与により、親の外国の預金口座から、自分の日本の預金口座へ1,000万円の送金受けた
技術・人文知識・国際業務の在留資格を持ち日本に居住する外国人が、母国に住む親から贈与により、親の外国の預金口座から、自分の日本の預金口座へ1,000万円の送金を受けました。贈与者(親)と受贈者(技術・人文知識・国際業務の在留資格である子)は、ともに日本国籍を有さず、日本での居住期間は、受贈者は10年以内と、贈与者はゼロ(居住歴なし)です。従って、この送金を受けた金銭が国内財産に該当しなければ、日本の贈与税は課税されないことになります。この場合、この送金を受けた金銭は国内財産と国外財産のどちらに該当するのでしょうか?
またこの送金を受けた金銭が国内財産に該当しなければ、日本の贈与税は課税されないことになります。によって贈与税の申告必要でしょうか?もし申告しなければならない場合になったら必要な書類を教えて下さい。
よろしくお願いします。
税理士の回答

初めまして、税理士の田村と申します。
質問に回答をさせて頂きます。
まず、金銭(金融資産)が国内財産と国外財産のいずれに該当するかは、その金銭(金融資産)を保有する銀行や証券会社(金融資商品取引業者等)の支店(営業所)が日本国内であるか、外国か、で判断いたします。
従って、ご質問者様の「日本の預金口座」が日本にある銀行や証券会社の支店で作成した口座である場合は、国内財産に該当しますので、日本の贈与税が課されることとなります。
仮に申告が必要となった場合、
必要な書類は、マイナンバー、戸籍に準ずる親子関係を証明する資料(親子間の贈与は特例税率の適用があります)、贈与契約書や振込明細など貰った財産のわかる資料、となります。
ご回答ありがとうございます。
この質問に対して他の税理士に回答しました。ちょっと見て意見を聞かせていただけないでしょうか。
(この場合は5月19日に親の外国の預金口座から、5月20日に自分の日本の預金口座へ1,000万円の送金を受けました。)
この送金を受けた金銭は国外財産に当たり、日本の贈与税は課税されないと考えられます。
課税財産の範囲
贈与税の課税財産の範囲は、贈与者と受贈者を、日本国内における住所(=生活の本拠地)の有無や国籍により区分し、その区分の組み合わせにより受贈者ごとに決定されます(下表)(相続税法1条の4、2条の2)。「一時居住者」とは、贈与の時において在留資格(出入国管理及び難民認定法別表第1の在留資格)を有する人で、その贈与前15年以内に日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である人をいいます。
質問の場合は、受贈者は別表第1「技能実習」の資格を有し、日本での居住期間は10年以内ですので「一時居住者」に該当します。一方、贈与者は日本の居住期間はゼロですから「10年以内に国内に住所なし」に該当し、受贈者の課税財産の範囲は国内財産に限定されます(下表 )。よって、この送金が国外財産に該当する場合には、日本の贈与税は課税されません。
贈与財産は何か?財産の所在は?
質問のケースは、まず金銭(現金)の贈与契約があり、その後に送金手続きが取られたと考えることが自然です。
よって、贈与財産である金銭の所在が国内なのか国外なのかにより贈与税の課税の有無が決定されます。相続税法10条は、財産の所在する場所について規定しており、動産(金銭)については"その動産の所在する場所"とし、その判定は"財産を贈与により取得した時の現況"によるとしています。
財産を贈与により取得した時はいつか?
民法第549条では「贈与は当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」とし、第550条では、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」としています。これら民法を受けて、相続税基本通達1の3・1の4共-8では、贈与による財産の取得の時期について「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時」としています。
履行の時とは
「履行の時」とは、「贈与者の送金の手続き完了時(=外国)」なのか、「受贈者の預金口座への入金された時(=日本)」なのかという疑問が生じます。本質問と逆のケースですが、高裁の事案(平成14年9月18日判決)では、日本に居住する親が日本の預金口座から、国外に居住する子の外国の預金口座への送金について、贈与財産が国内財産か国外財産なのかについて争われましたが、裁判所はその判断の中で、"履行の時とは贈与者が送金の手続きを完了した時"という見解を示しました。
質問への当てはめ
質問の場合では、書面による契約があれば贈与契約時(=送金の前)、書面がないときは履行時(=親の送金手続き完了時)となり、いずれの時も金銭の所在は国外となり、日本の贈与税は課税対象外となります。
すみません、間違ったところがあります。修正いたします
質問の場合は、受贈者は別表第1「技術・人文知識・国際業務」の資格を有し、日本での居住期間は10年以内ですので「一時居住者」に該当します。一方、贈与者は日本の居住期間はゼロですから「10年以内に国内に住所なし」に該当し、受贈者の課税財産の範囲は国内財産に限定されます(下表 )。よって、この送金が国外財産に該当する場合には、日本の贈与税は課税されません。

ご事情が具体的なようですので、このような匿名の場所ではなく、所轄の税務署に直接ご相談頂ければと思います。
私は、日本で現金(民法上は動産)を受け取った場合、その所在地で判断され国内財産に該当すると考えますので、質問者様の日本国内の預貯金口座を介して受け取った以上は(いつどこでに関わらず)、国内財産だと思慮致します。
この件に関し、これ以上の回答は致しません。
どうぞよろしくお願い致します。
ご回答ありがとうございます。
とても参考になります。
本投稿は、2021年06月06日 22時14分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。