仕掛工事の労務費について
今回、税務調査を受けることになりました。
その中で仕掛工事の資料をまとめていると、昔から疑問に思っている事が
気になり質問させていただきました。
現場ごとに材料費と外注費を計上しているのですが、労務費を一切計上
していません。労務費は原価に含めずに全て販売管理費に入れています。
なので現場ごとに従業員の給与を労務費と販管費にわけるといった事は
行っていません。
材料と外注のみを決算をまたぐ工事のみ仕掛工事として計上しています。
8名程の小さい会社なので、ここまで細かく管理するのは逆に難しいです。
従業員は現場だけが仕事ではなく内勤もあれば営業もあります。
現場だけの原価を計上するとなると時間給で算出したりと手間ばかりかかって
しまうので。
また社長も現場に行く事もありますが、営業がメインになるので役員報酬も
労務費として計上すべきものなのでしょうか?
知り合いに聞くと労務費まで管理して仕掛工事として計上する会社は
零細企業では少ないのではないか?とも聞きます。しかしながら、ここは
調査の対象となりますでしょうか?正直、他の部分が大して問題になりそうな
部分が見当たらないので・・・。
ご回答宜しくお願い申し上げます。
税理士の回答

馬場吏美
確かに税務調査で労務費の指摘はあるかもしれません。
役員報酬は労務費に計上することはしません。
役員報酬は損益計算書上で経費として計算します。
ここからは私の考えで、私の顧問先で行っていることですので参考までに。
労務費を損益計算書に計上されている会社は多々あります。
しかし製造業・建設業では、製造原価・工事原価を作成し現場に関わる職人の給与・社会保険料を労務費で計上することで、実態に沿った利益・利益率を把握できます。利益・利益率の把握は大切です。
実態をみると実は赤字で工事を請け負っていたということもあります。会社が大きい・小さいは関係なく、工事原価を作成し、職人を雇用されているなら労務費を計上し、請負額が正しかったのか採算が取れているのかを確認します。
そこで決算における仕掛の労務費ですが、
経理がおりエクセルなどが利用できるなら毎月労務費を現場に振り分ける表を作成することもあります。
経理がいない、作成できないのであれば、決算で仕掛工事となっている現場の労務費だけを計算することを行います。
全ての現場の労務費を計算するのではなく。
いずれにせよ今回の調査で指摘があれば、改善策を検討されれば良いかと思います。
ご回答ありがとうございます。
労務費の計上は、やはり指摘事項になってしまうのですね。
ちなみに教えて頂きたいのですが、給与(職人)の支払いを当月末日締の翌月5日払いで
給与の伝票を起票します。決算時には給与は未払給与という事になると思うのですが、
仕掛工事として計上する事になると決算整理で仕掛工事振替る事になると思います。
以下の仕訳をご確認いただけますか?
①決算末日時点 給与 1,200,000 / 未払費用 1,200,000
②仕掛工事部分の労務費算出 ⇒ 350,000円
③決算整理 仕掛工事 350,000/ 給与 350,000
上記の仕訳を起こすことになりますか?
すいません。カテゴリ違いの質問になるのですが、この場合、所得拡大税制
(細かい要件は省略するとして)の算出の際はどうなるのでしょうか?
今までは雇用者給与等の欄と元帳上の給与の金額が一致した状態だったので。
上記の仕訳とした場合、会計上は仕掛工事分の人件費が減る事になります。
実際は給与として払うものが原価として計上する事で、所得拡大税制の判定金額が
不利(不利と言う言葉が妥当ではないかもしれませんが…)となるわけではないのですよね?
これは所得拡大税制の給与総額と会計上の給与総額は必ず一致するということではないという
理解でよかったでしょうか?
一致させなければならないのであれば、仕掛工事/期末仕掛工事 350,000 と言う仕訳に
しなければならないという事でしょうか?
申し訳ありません。労務費が影響するという事は、そこに付随する税額控除等にも影響を
及ぼすことになるのか不安になってきまして。申し訳ありませんが、もう少しだけお付き合い
下さい。宜しくお願いします。

馬場吏美
理解されている仕訳処理で良いと思います。
次回の調査時に指摘があれば処理の相談をされてもよいと思いますよ。
また所得拡大税制について、
この制度を利用されていること、驚きました。
なかな従業員の給与を増額させ続けることは経営をする上で大変かと思います。
質問事項につきまして、必ず毎期同じ判定をすることを条件に、支出日基準で判定することができます。
しかし、質問者様は支出日ではなく発生日、月末締めで給与を計上していますね。私は今までと同様に仕掛分を控除をしないで判定して進めていきますが・・・・必ずこれで良いとされるかは分かりません。この支出日基準というものも税務署内の判断で決めている通達なので、税務調査で労務費を指摘されたときに一緒に聞いてみてはどうでしょうか。指摘されなければ税務署に確認をされてもよいかと思います。
ご回答ありがとうございます。
所得拡大税制は発生日基準で計算はマズかったのでしょうか。
すいません。素人の考えで毎年、所得拡大税制を行ってきたのですが、本来は支払日基準しか
受け入れられないと考えてもみませんでした…。
なんども質問申し訳ありません。

馬場吏美
支出日基準という書き方が良くなかったです。
本来は発生日基準の判断で良いと思います。
しかし、今回はその発生日基準で計上した労務費を経費にあげない処理(仕掛計上)をすると、判定に使う給与をどうすればよいかですよね。
建設業・製造業は例外として支出した金額で判定できるとあります。
要は1年間で支出した金額で判定します。しかし質問者様は末締め翌月5日払いなため、この例外を利用すると1月分ずれることになります。
この1月分について、私は今まで通り判定しても良いのでは、と思っていますが、確証を得ていません。その辺りをご自分で確認されるとよいです。
ご返答が遅くなり大変申し訳ございません。
詳しいご説明とカテ違いの質問にまで丁寧にお答えいただき
大変参考になりました。
ありがとうございました!!
本投稿は、2022年10月13日 09時16分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。