「退職所得の受給に関する申告書」提出の必要性について
お世話になっております。
標題の件ご相談申し上げます。
在職期間中、2度目の退職金を支給する場合、
退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)は、
その都度提出が必要でしょうか?
この度、2022年に退職した社員に対し、
2024年に、役員退職金を支給することになりました。
2022年当時には「退職所得の受給に関する申告書」を
提出しており、税務処理も低い税率で計算致しました。
(当時は使用人としての退職金支給でした)
その後、2024年に継続して勤めていた役員を退任することになり、
役員退職金を支給する運びとなった次第です。
その場合、2024年に今回役員退職金を支給するにあたっては、
「退職所得の受給に関する申告書」を再度提出させ、
提出があった場合、提出があった場合の税率で所得税計算ができる
認識にてよろしいのでしょうか?
それとも、同じ事業所に当時提出したことがあるので、
2022年当時のものが有効となるのでしょうか?
申し訳ないのですがご教示いただきたく、何卒宜しくお願い申し上げます。
税理士の回答

在職期間中、2度目の退職金を支給する場合、
退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)は、
その都度提出が必要でしょうか?
⇒ 提出が必要です。
提出がない場合は、退職所得控除額は計算されません。
なお、退職所得控除の計算の基となる勤続期間は、前回の支給がいわゆる「打ち切り支給」となりますので、役員就任時から退任時までの期間になります。
米森先生
お世話になっております。
早速のご返信ありがとうございます。
すみません、ややこしく大変申し訳ないのですが、
該当社員については、
「使用人兼役員」の期間と、「役員」の期間がございました。
2022年は、使用人として定年退職を迎え、退職金を支給しました。
その時点で、役員は6年程勤めていました。
その後も嘱託として勤務を継続し、且つ、役員も継続していたのですが、
この度2024年に役員を退任することとなり、役員退職金を支給することになった状況です。
その場合、今回支給する役員退職金に対する勤続年数の考え方としては
2022年使用人定年退職~現在の2年間の認識にてお間違いないでしょうか?
それとも、通算して、6年+2年=8年の数え方となりますでしょうか?
退職所得控除の計算が変わってきてしまうため、何卒ご指導いただきたく
大変お手数ですが宜しくお願い申し上げます。

重複する期間がありますと以前の支給が「打ち切り支給」にはなりません。税務署と確認されましたか?
使用人兼務役員とは、法人税法上の考え方で、役員であることは間違いなく、役員に対して「定年」は原則ないため、役員就任時の支給でなければ、2022年の当該手当金は賞与扱いとなります。
執行役員(会社法上の役員ではない)であれば、使用人の定年時の支給は「打ち切り支給」となり、当然定年後からの勤続年数を計算することになります。
そもそも「退職所得」は給与所得の一形態であるものの、長年の勤務に対する支給であり、最後の収入として老後の資産であることから、給与所得とは区分されて課税されることになっています。
そのため、退職所得は「退職ししたことに基因して一時的に支給される給与」をいい(所得税法基本通達30-1)、「退職しなかったとしたら支払われない給与」が退職所得として考えられています。
しかし、そのなかで、「引き続き勤務する者に支払われる給与で退職所得とされる給与」は、「その給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上、その給与の勤続期間を「一切加味しない」場合」、いわゆる「打ち切り支給」であるときに、退職所得として認められるため、そもそも重複する期間が生じるのであれば、その給与=以前の退職手当は、退職手当金として認められなくなります。
そこで、今回の役員退職金が、重複期間も含めて支給するのであれば、ますます以前の支給が退職手当と認められない可能性が出てきます。
単なる「退職所得の受給に関する届出書」の提出に関する問題ではないようですので、このご質問上での回答は差し控えさせていただきます。
事実関係を整理したうえで、所轄税務署の源泉所得税担当にご相談なさるのがよろしいと思います。
国税庁HPから退職所得関連の根拠通達を紹介します。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/04.htm
本投稿は、2024年03月26日 07時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。