講演依頼に係る旅費、宿泊費、謝金の源泉徴収について
当方は、人格なき社団組織です。
近々に講師を招いて講演会を行うこととしています。今回1回限りの開催です。講師を遠方から招くので、旅費、宿泊費を当方で負担し、別途、講演料も支給します。
一方、講師は会社員ですが、会社業務とは別に個人事業として活動している方です。
当方は、旅費(新幹線、グリーン料金)・宿泊費として、当方の規程により講師に約60,000円を現金支給します。また、規程により日当(2日分)を別途7,000円を支給しますが、日当は非課税でしょうか。さらに講演料として30,000円を支給します。これらに係る源泉徴収が必要かどうかを伺います。
ネット情報によると、5万円以下では源泉徴収は不要であるとの記載もあり、真偽がわかりません。
5万円以下は源泉徴収が不要であったとしても、今回は旅費と講演料の合計で9万円を超えるので、源泉徴収が必要になりますか。また、源泉徴収を行う場合には、相手方講師のマイナンバーが必要になりますか。
税理士の回答

回答します
最初にいわゆる「旅費」(日当・旅費)が非課税なのは、給与所得者に対する旅費の規定になります。
今回は、「講演」を依頼した方への謝礼ですので、原則、旅費・日当・講演料の全てが「課税(源泉徴収)」の対象となる報酬に該当します。(所基通204-2)
また、5万円以下の源泉徴収が不要な報酬等は、
1 懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等
2 新聞、雑誌等の読者投稿欄への投稿者又はニュース写真等の提供者に支払う謝金等
3 ラジオやテレビ放送の聴視者番組への投稿者又はニュース写真等の提供者に支払う諸金等
※「2」「3」の場合であっても、あらかじめその投稿等を依頼した人への対価として支払うものは除かれます。
などいずれかに該当する場合を指します。(所基通204-10)
そこで、今回お尋ねの講演料の支払いは、上記のいずれにも該当しませんので源泉徴収の対象となります。
さて、「旅費」については、支払者が直接、鉄道業者等に支払う場合には、源泉徴収の対象となる報酬から外せることになります。(所基通204-4)
例えば講師の方が「立替」た場合などは、領収証の宛名を御社の名前として、領収証の現物が御社に渡す場合等は、源泉徴収の対象から外しても差し支えありません。
国税庁HPから参考箇所を添付します。
「源泉徴収のあらまし」の「報酬・料金等の源泉徴収事務」から
「旅費」なども源泉徴収の対象となるのは1枚目(P166)の中盤「なお」書からを参考にしてください。
「おおむね5万円以下」の源泉徴収不要に関しては、6枚目(P171)の中盤の(注)をご覧ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2021/pdf/07.pdf
ただし、お尋ねのように御社の旅費規程での支払の場合は、全ての支払が源泉徴収の対象となります。
早速のご回答ありがとうございました。適切に処理いたします。
なお、源泉徴収票を作成する場合には、相手方のマイナンバーを記載する必要はありますか。相手からマイナンバーを求めることに躊躇しています。

回答します
「源泉徴収票」や「支払調書」で、税務署や市区町村に提出するものへは、マイナンバーの記載は必要となります。
しかし、相手に説明したものの拒まれた場合には、記載がなくとも税務署などは受け付けてくれます。
ただし、会社としては、指導した内容や経緯を保管する必要があります。(義務を履行しようとしたが、できなかった理由を保管するため)
ですから、「躊躇する」お気持ちは分かりますが、相手方にお伝えする必要はあります。
なお、講演者の方に交付するものは「源泉徴収票」ではなく、「支払調書※」になります。「源泉徴収表」は給与所得者に交付する書類となります。
また、源泉徴収税額(源泉所得税)も、給与の源泉徴収税額表ではなく、報酬額に10.21%を掛けた税額となります。
※「支払調書」は、税務署に提出する書類であり、報酬の受け取る者に交付する必要は本来ありませんが、源泉所得税額などを相手方が把握しやすいように交付することは多く見受けられます。
承知いたしました。懇切丁寧な回答ありがとうございました。

ベストアンサーをありがとうございます。
少しでもお役に立てましたら幸甚です。
本投稿は、2022年05月25日 10時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。