社宅の従業員負担について
転勤することになり社宅に住むことになりました。
そこで社宅について調べていたところ【会社負担を9割、従業員負担を1割とし会社負担相当を従業員の額面から減らすと、実質全額が従業員の負担となるが額面が減ることで大きな節税が期待できる】とネットで散見しました。
①この考えは正しいでしょうか。
②正しかった場合、気になるのが会社負担相当額を従業員の額面から引くというところで、基本給を減らすとボーナスや退職金に影響するのではと懸念しています。これらに影響させずに額面を減らす方法はあるでしょうか。
ご教示頂きたく存じます。
宜しくお願い致します。
税理士の回答

回答します。
1 「経済的利益」の考え方になります。
社宅の場合、使用人から「賃貸料相当額」を徴収している場合は、実際の家賃の金額を「給与」として課税しなくても良いことになっています。
※ 10万円の物を無償で貸したときには10万円の経済的利益を与えたとして、この10万円に対して給与課税することになります。これが「経済的利益」の考え方です。
① 「支払った1割程度の家賃を徴収すればよい」のか
このネット情報は正確性に掛けます。
使用人の場合、「賃貸料相当額」を算出し、その「賃貸料相当額」の1/2以上を徴収していれば「課税しなくても良い」との考え方になります。
この考え方と計算式は、会社の自己所有の物件の他、借上げ社宅の場合も同じです。
詳しい算式は、国税庁HPNの以下のサイトをご確認くださいhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm
② 会社負担分を基本給から減額する
『実質は会社負担はなくし、かつ、本人の給与が減るので本人の「所得税」が節税になる』というのは、ある意味正しいかも知れませんが、本来の「福利厚生」の面からそれをしても良いのか疑問が残ります。 ※法人税の節税にはなりません
なお、基本給与が下がることで「社会保険料」も下がり、法人にとっての負担が減る可能性はあります。
ただし、それらの方法が良いか否かというよりも、できるか否かは労使の契約(協定)にもよると思います。そして、むしろ税理士の仕事の範疇というよりも「社会労務士」先生の仕事の範疇によると思われますので、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。
2 基本給に影響するのか
① 「賃貸料相当額」のみの徴収の場合
本人から徴収する「賃貸料相当額」は、給与からの差引ですが、所得税や住民税のような「天引き」の項目からの差引になります。「基本給」を減額するわけではありませんので、賞与などの影響はないと思います。
本人にとってはメリットがありますが、会社としては経費が嵩みます。(法人税の節税にはなります)
② 基本給から、会社負担分を減額する場合
当然基本給に影響がおよびます。
その結果、従業員に「所得税」減税等のメリットはあるとは思いますが、御懸念のとおり他の影響の方が多く、いかがなものかと思います。
後々、トラブルにならないかが懸念されます。

追伸
貴方の勤務先が、どのような制度を取り入れているのかを、ご確認ください。
あまり、「基本給から会社負担分を減額する」という話は聞いたことがありません。(無いことはありません)
返答が遅くなり申し訳ありません。
とても詳しいご回答ありがとうございました。

ベストアンサーをありがとうございます。
なお、私見として申し上げるなら、
① 家賃から賃貸料相当額を差し引いた額を基本給から差し引き、かつ、差引として賃貸料相当額を差し引く方法と
② 満額給与の支給を受け、自身で賃貸料を支払う方法の選択ができる場合において、「①」を選択した時「社宅」という「経済的利益」の考え方からは外れていると考えています。
これらの考え方には様々な意見があり、結論が出ていない状況なので、個人的には「危ない橋は渡らない」ことをお勧めします。
そもそも、経済的利益(現物給与)が課税の対象から外されているのは、①職務上欠くことができないものとして、使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの、②換金性に欠けるもの、③その評価が困難なもの、④受給者に物品などの選択の余地がないもの、であるとして、金銭給与と異なる性質があり定められたものです。(国税庁発行「源泉徴収のあらまし」より)
そのため、本人の①又は②を選択できる時点で、当該「経済的る駅」が課税されない趣旨から外れていると思われます。
本投稿は、2021年03月19日 21時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。