ソフトウエアを賃借する場合の経理処理
お世話になります。
普通法人ですが、ソフトウェア制作会社に既成品の汎用ソフト使用料とカスタマイズ(特別仕様)費用を支払います。一式あくまで借用で売却は永久に無しです。借用期間は6年で、金額は汎用基本ソフトが550万円、特別使用が200万円です。汎用基本ソフトは複写して他企業でも使用できるものです。支払は最初に一括全額支払いで6年借用後は1割の使用料で継続借用します。なお、支払は全額一回払い無利息返金不可ですが、途中で使用を中止することは可能です。この場合、汎用基本ソフト部使用料を長期前払費用で月々損金にし、カスタマイズ費用もあくまで借りるので無形固定資産(ソフトウェア)にせずに長期前払費用にして月々分割損金にしてよいのでしょうか。リース資産には該当しないと思っておりますがよく分かりません。なお、リース会社は通しません。
宜しくお願い致します。
税理士の回答
東京都中央区の小林税理士事務所 小林拓未と申します。
上場会社でなく、会社法上の大会社(資本金5億円以上、または負債200億円以上)でなければ、会計上は、賃貸借処理で問題ありません。
税務上は、売買取引と扱われると思われますので、賃貸借処理した金額が、損金算入されます。本来なら5年償却ですが、このケースですと、6年で損金算入されるということになります。(税務上、償却不足額が生じます)
リース料を一括払いされるのであれば、ご質問の通り、長期前払費用という科目が妥当と考えます。
以上よろしくお願い致します。
ご回答ありがとうございます。
当社は資本金5億円超の大法人の100%子法人ですので、グループ法人税制等から当社は大法人と同じ扱いになると思いますが、リース資産やカスタマイズ部分を無形固定資産のソフトウェアにしなくてもよいでしょうか?
失礼しました。それであれば、
未経過リース料の期末残高/(未経過リース料の期末残高+有形固定資産+無形固定資産の期末残高)
が、10%未満であれば、ご質問通りの処理になり、10%以上であれば、固定資産処理になります。
ご回答頂きまして有り難うございます。
10%の基準は、リース資産の利息の経理処理基準しか知りませんでしたが、資産か否かの基準もあることは知りませんでした。当社は未経過リース料の期末残高/(未経過リース料の期末残高+有形固定資産+無形固定資産の期末残高)が10%未満ですので、長期前払費用で一括支払い、損金処理は6年分割月々計上額としたいと思います。
未経過リース料の期末残高/(未経過リース料の期末残高+有形固定資産+無形固定資産の期末残高)
申し訳ありません。回答ミスです。
「リース取引に関する会計基準の適用指針」によると、
「個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合は、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる」とあり、この判定に、
未経過リース料の期末残高/(未経過リース料の期末残高+有形固定資産+無形固定資産の期末残高)
この算式を用いましたが、これは、「リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合」の判定で、利息の処理いかんに使用される算式であり、賃貸借処理が認められるかどうかの判定には用いられません。
したがいまして、御社の処理は、賃貸借処理ではなく、固定資産処理が妥当と考えます。お詫びして訂正いたします。
度重ねてのご回答頂きありがとうございます。
ソフトウェアは一般で広く使えるものに特注の部分(カスタマイズ)を付け加えたものですが、あくまで借りるものでも固定資産なのでしょうか?。固定資産の場合、①リース資産⇒定額減価償却費計上(ファイナンスリースではないと思っておりましたが、所有権移転外ファイナンスリースに該当するのでしょうか?)、②無形固定資産⇒定額減価償却費計上 のどちらにすべきなのでしょうか。長期前払費用⇒月々賃借料振替計上は不可なのでしょうか。ご教授の程お願いいたします。
リースが、ファイナンスリースに該当すると、基本的に売買処理になります。法的には、賃貸ですが、経済的実態は、売買と変わらない、というのがその理由です。判定の要素は次の通りです。
①現在価値基準(90%基準)
解約不能リース期間中のリース料総額の現在価値が、リース物件の見積現金購入価額(借手がリース物件を現金で購入すると仮定した場合の合理的な見積金額)の概ね90%以上であるリース取引。
→今回のケースは、利息部分が無いので、リース料総額=物件の見積現金購入額、となると思われます。したがって、ファイナンスリースに該当いたします。それから、
②所有権移転条項の有無
→無し
③割安購入選択権の有無
→無し
④特別仕様の物件か?
特別仕様(リース物件が、借手の用途等に合わせて特別の仕様により製作または建設されたものであって、当該リース物件の返還後、貸手が第三者に再びリースまたは売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなリース取引。)である、となり、やはり賃貸借処理は、できないという結論です。
勘定科目は、無形固定資産の部に、「無形リース資産」となろうかと存じます。
度重ねて詳しくご教授頂きありがとうございます。
度々すみません、金額的な面では、
特別仕様部分のソフトの金額が200万円なので300万円未満ですが、汎用部分ソフトと合わせた総額借用料金の合計額が300万円を超えることから判断してリース資産となるのでしょうか。
有り難うございます。最後に確認させてください。
借用期間の中途で契約を解除することができるのですが、ノンキャンセラブルでなくても今回のケースはファイナンスリースとなりリース資産になるのでしょうか。
そして、リース資産として消費税仕入税額控除も借用開始年度に一括全額700万円×8%=56万円を控除できるとしてよいのでしょうか。
ノンキャンセラブルは、ファイナンスリースの要件ですので、ノンキャンセラブルでない場合は、ファイナンスリースに該当しません。
ただ、ノンキャンセラブルというのは、
①契約上中途解約できない定めがあるもの
②解約時に未経過のリース期間に係るリース料のおおむね全額を、相当の違約金(規定損害金)として支払うこととされているリース取引など事実上解約不能と認められる取引
の2つがありまして、今回のケースは、使用をやめることはできるが、返金されないと思われますので、ノンキャンセラブルであり、ファイナンスリースであると判断いたしました。
消費税の仕入税額控除は、ご質問の通り、借用開始年度に一括で控除できます。
何度もご回答頂きありがとうございました。
たいへん参考になりました。
特注部分の金額が少ないので所有権移転外ファイナンスリースとして、耐用年数をリース期間の6年で償却しようと思います。
有り難うございました。
本投稿は、2016年09月12日 16時31分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。