分記法について
分記法での仕入れ計上について、仕入れ時と売却時の仕訳と消費税の処理を教えてください。また、翌期の売却時に仕入れの消費税を認識することは可能でしょうか?(翌期から課税事業者になります)
税理士の回答

松田光弘
【税抜経理】
<仕入>
商品 100/預金 110
仮払消費税 10
<売上>
売掛金 220/商品 100
商品売買益 100
仮受消費税 20
<期末>
仮受消費税 20/未払消費税 10
仮払消費税 10
【税込経理】
<仕入>
商品 110/預金 110
<売上>
売掛金 220/商品 110
商品売買益 110
<期末>
租税公課 10/未払消費税 10
【当期(免税事業者)に仕入れ、翌期(課税事業者)に売却】
<当期:仕入>
商品 110/預金 110
<翌期:売上>
売掛金 220/商品 110
商品売買益 90
仮受消費税 20
以上のようになるかと思われますので、「翌期の売却時に仕入れの消費税を認識することは」できかねますね。

◆今期(免税事業者)での仕入時の仕訳例(10万円+消費税1万円)
【借方】仕入 110,000円
【貸方】現金 110,000円
※分記法では税込総額で処理、仕入税額控除の処理は行いません。
◆翌期(課税事業者)での売却時の仕訳例(売却額132,000円、うち消費税12,000円)
【借方】現金 132,000円
【貸方】売上 120,000円
仮受消費税 12,000円
※分記法では、仕入側の消費税は控除されないため、翌期に仕入税額控除はできません。
♦︎翌期の売却時に仕入れ時の消費税を仕入控除できるか?については、結論としてできません。
理由は
• 分記法を採用した場合、仕入れ時に消費税を費用に含めた扱いとなるため、翌期に仕入税額控除をすることは制度上認められていません。
• 仮に控除したい場合は、「売上税額相当分から仕入控除を引く」仕入税額控除方式(本則課税・一括比例配分など)を用い、「記帳と帳簿保存」を正しく行っている必要があります。
お二方とも、丁寧なご回答ありがとうございます。
「売上税額相当分から仕入控除を引く」仕入税額控除方式を採用した場合は、翌期に消費税を控除できるのですか?
また、売上(課税、非課税ともに)が0なのですが、期末までに課税事業者届を提出すれば、今期に仕入れ税額分の還付を受けられるのでしょうか?

松田光弘
>期末までに課税事業者届を提出すれば、今期に仕入れ税額分の還付を受けられるのでしょうか?
期末までに課税事業者届出を申告して、確定申告で消費税の還付申告をすれば、還付を受けられます。
ただし、一度課税事業者になった場合、原則2年間は免税事業者に戻れないことにご注意ください。
本投稿は、2025年06月19日 18時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。