「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出要件について
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出要件についてご教示ください。
弊社は法人ですが、役員報酬および給与を支払う従業員はおりません。
一方で、外注先に対して報酬を支払い、源泉徴収を行っております。
この場合、給与支払事務所等の開設届出書の提出は必要でしょうか。
ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

役員報酬や給与を支払う従業員がいないのであれば提出は不要になります。
ご質問のケースでは、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出は必要です。
【理由】
この届出書は名称のとおり「給与支払事務所」となっていますが、所得税法では「給与」だけでなく、源泉徴収の対象となる報酬・料金を支払う事務所等も含むとされています。
そのため、法人が役員報酬や従業員給与を支払っていなくても、外注先などに対して源泉徴収義務のある報酬(例:原稿料、講演料、司法書士・税理士・弁護士などの士業報酬)を支払う場合は、提出対象となります。
【法令上の根拠(概要)】
●所得税法第231条
「給与、退職手当又は公的年金等若しくは報酬・料金等の支払をする者は、その支払をする事務所等を新設した場合、所轄税務署長に届け出なければならない。」
●国税庁タックスアンサー No.7505
「源泉徴収の対象となる給与、退職手当、公的年金等、報酬・料金等を支払う事務所等を開設した場合に提出します。」
【提出のタイミング】
開設の日から1か月以内
法人設立時や、初めて源泉徴収対象の報酬を支払う事務所を設けた時点が起算日です。
【補足】
実務上、法人設立届と同時に提出することが多いです。
提出しないと罰則はありませんが、源泉所得税の納期の特例申請など後続手続きで必要になる場合があります。
【結論】
外注先への報酬支払いで源泉徴収をしている以上、たとえ役員報酬・従業員給与がゼロでも、提出が必要です。
ご丁寧にご教示いただきありがとうございました。
罰則はないとのことで安心いたしましたが、
法令の趣旨に沿い、早急に提出を進めようと考えております。
お忙しい中、分かりやすくご説明いただき大変参考になりました。
本投稿は、2025年08月14日 16時01分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。