個人事業主の開業済配偶者に対する専従者給与について
開業する知人から、奥様を専従者とする話を聞き、問題があるのでないかと思いご相談いたします。
知人は、個人事業主として民泊開業を予定しており、既にイベントや教室で調理飲食事業を以前から行っている奥様が、今後は宿でランチ・ディナー営業をする、と聞きました。知人は、奥様を専従者にするといっており、その場合、既に開業済の奥様は廃業する必要があるのでは、と心配になりました。知人は会計知識がなく、共同経営するイメージでおり、会計について奥様と相談はまだしてないそうです。恐らく、奥様は今後もイベント出店や料理教室は続け、宿の事業のみには専念されないものと思われます。
そこで質問なのですが、一般に、開業済配偶者を他方の専従者にするには、他の事業従事があるとできないので、配偶者が廃業するなら可能で、専従者にしない場合は、どちらも個人事業主として別会計で事業可能、という理解であってますでしょうか。
わたしも個人事業をした際に、妻を専従者にしようとしたのですが、内職収入があるため専従者にあたらないと聞き、あきらめたことがあり、このような考えが出たものです。私から税務の助言はできないですが、知人に「税理士に詳細な相談をしたほうがよい」と伝えるべきか確認したく、ご助言のほどお願い致します。
税理士の回答

質問1:開業済みの配偶者を他方の「青色事業専従者」とするには、配偶者が他に事業をしていてはいけないのか?
→ その通りです。
青色専従者として認められるためには、次の要件をすべて満たす必要があります(所得税法第56条、青色申告承認申請書・専従者給与に関する届出書の運用):
• 配偶者であること
• その年を通じて、原則として他に仕事をしておらず、専ら当該事業に従事していること
• その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること
• 青色申告をしていること
• 「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署に提出していること
つまり、他に個人事業(料理教室やイベント出店など)を行っている間は、専従者にはなれません。
質問2:奥様が廃業すれば、専従者になることは可能か?
→ 理論上は可能です。
奥様が事業を廃業し、以後は専らご主人の事業(民泊+飲食)に従事する場合、上記の要件を満たす限り、青色事業専従者として給与を支払うことが可能です。ただし、「専ら」従事することが要件なので、継続的にイベント等に出店する場合はこの条件を満たさないおそれがあります。
質問3:奥様が事業を継続し、専従者にならず、それぞれ個人事業主として運営する場合は問題ないか?
→ 基本的に問題ありません。
• ご主人:民泊事業(宿泊+飲食)
• 奥様:料理教室・イベント出店等
このように明確に「事業の独立性」「会計の分離」「収支の区別」が保たれていれば、別々の個人事業主として問題なく運営可能です。
ただし、飲食部門で役割分担(奥様が調理担当)している場合、実態によっては業務委託契約や人件費処理が必要になります。
素早いご回答をありがとうございます。疑問点がすべて解決しました。知人には専門家に早期に相談するよう勧めます。本当にありがとうございました。
本投稿は、2025年08月18日 20時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。