大学との共同研究における機械装置開発・製作費用の会計(税務)処理
▮相談内容
以下 "詳細"に記載したケースの場合、
つぎの(1)~(3)の経理処理(考え方)で差支えありませんか?
(1) 大学に支払った共同研究負担金は、全額研究開発費に計上
(2) 共同研究負担金の他に、当社が支出した装置を構成する部品等の購入費用や設計費を全額研究開発費に計上
(3) 完成した装置は、費用負担割合にかかわらず「大学に帰属」
※差支えがある場合は、正しい処理・考え方をご教示いただけますと幸いです
※装置の開発に成功し、固定資産に相当する装置が完成する前提の質問です
▮詳細
1.大学との共同研究契約を締結し機械装置を製作(開発)します
2.契約には、研究経費についてまとめた表が記載されています
①自社外試験研究費(共同研究負担金)の額 <1,000万円>
当社が大学に支払い、大学が研究経費に使用するもの
主に装置を構成する部品などの購入に使用
②自社内試験研究費 <700万円>
当社が①の他に自社内で使用する研究経費
装置の設計費や装置を構成する部品の購入に使用
3.契約には、2の研究経費により取得した設備等は、大学に帰属するとあります
以上
税理士の回答

文面を読む限りにおいては、おっしゃる通りの処理で問題ないように思われます。
国税庁HP
No.5442 一般試験研究費の額に係る税額控除制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5442.htm
結論として、ご提示の(1)~(3)の経理処理は、契約書に記載された研究経費の性質が税法上の「試験研究費」に合致している限り、差支えないと考えられます。
研究開発費の取扱い
(1) 大学に支払った共同研究負担金(自社外試験研究費)は、共同研究のための費用であり、研究開発費として計上可能です。貴社の新たな技術や製品開発に資するものであれば、全額研究開発費とする処理に問題はありません。
(2) 当社が支出した装置部品の購入費用や設計費(自社内試験研究費)も、装置開発のために直接要した支出であれば、研究開発費として計上可能です。装置が完成して固定資産に相当する状態となった場合でも、研究開発段階で発生した費用は研究開発費とするのが一般的です。
完成装置の帰属
(3) 契約で「完成した装置は大学に帰属」と定められている場合、当社が固定資産計上する必要はありません。支出した費用は装置の取得対価ではなく、研究活動への費用負担と整理されます。そのため、減価償却資産とはならず、研究開発費としての処理で差支えありません。
留意点
(1) 契約書上の取り決めと実態が一致していることが前提です。実質的に貴社が装置を独占的に利用する場合は、固定資産計上が求められる可能性もあります。
(2) 税額控除制度(試験研究費税額控除等)を検討する場合には、共同研究の範囲や費用区分が適用要件を満たしているかを確認する必要があります。
まとめ
(1) 大学への負担金は研究開発費計上で差支えない
(2) 自社で負担した部品費・設計費も研究開発費計上で差支えない
(3) 完成装置は大学帰属であり、固定資産計上不要
結論として、(1)~(3)の経理処理は基本的に適切であり、契約内容や実態に沿って処理することが重要です。
詳細な回答・ご説明をありがとうございました。
よく理解できました。
本投稿は、2025年08月20日 16時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。