従業員社宅の前払費用計上について
当社は8月決算です。8月に従業員社宅を契約し、以下を支払いました。
①9月分以降の家賃
②鍵交換代
③礼金
④部屋消毒代
⑤仲介手数料
⑥保険料
入居開始は9月15日からとなります。
この場合、8月決算ではすべて前払費用として計上することとなりますでしょうか。
税理士の回答
8月決算では以下のものを前払費用として計上することになると思います。
①9月分以降の家賃
⑥保険料
波多野暁生
8月決算だからといって、すべて前払費用になるわけではありません。
一般的には次のように考えます。
①9月分以降の家賃
→原則として前払費用です。
②鍵交換代
④部屋消毒代
⑤仲介手数料
→8月中に契約・作業等が完了しているものであれば、原則として8月期の費用として処理できます。
③礼金
→返還されない礼金は、金額によっては「建物を賃借するための権利金等」として繰延資産に該当し、一定期間で償却する必要が考えられます。
20万円未満であれば、一時に損金算入できる取扱いがあります。
⑥保険料
→9月以降の期間に対応するものは原則として前払費用です。
おはようございます、税理士の川島です。
下記の前払費用の件ですが、
①9月分以降の家賃→前払費用
②鍵交換代→8月以内に交換が済んでいれば経費
③礼金→返還されなければ20万円未満は経費。20万円以上は契約期間等で按分
④部屋消毒代→8月以内に済んでいれば経費
⑤仲介手数料→契約時の経費
⑥保険料→保険期間で期間按分
となります。
① 家賃(9月分以降)→ 前払費用に該当
入居開始が9/15であり、8月末時点ではまだ賃貸物件の使用という役務提供を受けていないため、正しく前払費用(資産)です。なお、毎月一定額を継続的に支払う契約であれば、法基通2-2-14の「短期前払費用」の特例(支払日から1年以内に提供を受ける役務であり、継続して支払時に損金算入している場合は支払時損金算入可)の適用を検討できますが、初回の入居前家賃はまだ「継続して」の実績がないため、通常は素直に前払費用計上が無難です。
⑥ 保険料 → 前払費用に該当
火災保険・家財保険等も家賃と同様、契約期間にわたり継続的な保障(役務提供)を受ける対価なので、未経過期間分は前払費用です。こちらも短期前払費用の特例の対象になり得ます。
⑤ 仲介手数料 → 前払費用ではなく、支払時の損金
不動産業者による契約の仲介という一時的なサービスは契約時点で完了しており、継続的役務ではありません。法基通8-1-5の(注)で明示的に「建物の賃借に際して支払った仲介手数料の額は、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる」とされており、8月に一括損金算入できます。
③ 礼金 → 前払費用ではなく、繰延資産(長期前払費用)として償却、または少額なら即時損金
礼金は家賃の前払いではなく、賃借権を取得するための一時金という性格なので前払費用ではなく「資産を賃借するための権利金等」(令14条1項6号ロ、法基通8-1-5)に該当します。
20万円未満:支払時に地代家賃・支払手数料等で一括損金算入可
20万円以上:「長期前払費用」等で資産計上し、契約更新料の定めがなければ5年(更新料の定めがあれば賃借期間)で償却
② 鍵交換代・④ 部屋消毒代 → 原則、支払時(または役務完了時)の損金
これらは鍵の交換・室内消毒という一回限りの作業(役務)の対価であり、継続的なサービスではないため、前払費用の定義(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるもの)には当てはまりません。8月末までにその作業自体が完了していれば債務確定要件を満たし、支払手数料や雑費として8月に損金算入するのが基本です。仮に作業(鍵交換・消毒)が9月の入居直前まで行われない契約であれば、8月末時点では未だ役務提供を受けていないことになるため、前渡金(仮払金的な性格)として資産計上し、実際に作業が完了した9月に費用化する、という整理になります。この場合も「前払費用」というより「前渡金」の性格です。
本投稿は、2026年09月01日 23時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







