過去の社会保険料を経費にできるかについて
小売業をやっております。
恥ずかしながら、これまで従業員の社会保険料について、20年以上も滞納しており、元金や利息で相当の額(2000万円以上)の滞納金があります。
また、この社会保険料については、銀行からの融資のこともあって、これまでは帳簿に入れていませんでした。
このままではいけないと思い、今年中に全て清算したいと思っています。
その場合、支払う社会保険料について、これまでずっと簿外のものだったので、今期の費用に一括で計上することができるのでしょうか?
税理士の回答
ご相談は法人を前提としたものと想定して回答致しますのでご了承ください。
法人税の費用(損金)の算入時期は、会社の任意に委ねられるものではなく、債務が確定した事業年度において計上するものと考えます。
社会保険料の支払い債務は、月末における従業員等の在職の事実をもって確定することになりますので、その支払い債務が確定するのは毎月末と考えられます。
従って、企業会計の処理としては前期損益修正損として費用計上したとしても、法人税の計算では当期に該当する分だけが当期の損金になるものと思われます。
そして、前期以前の分につきましては、更正の請求が可能な期間に関しては更正の請求を行って処理するものと考えます。
服部先生、分かりやすいご回答ありがとうございます。
更生の請求が出来る期間より前の社会保険については経費にできないということですね。
もう一点ご質問させてください。
「社会保険料の支払の債務は、月末における従業員等の在職の事実をもって確定することになる」ということは、社会保険料の元金部分に関しては当然、その月に支払う金額が確定するので、例えば2015年4月分なら2015年4月末に金額が確定するのだと思いますが、
その金額にかかる延滞金部分に関してはいかがでしょうか?
2015年4月分の社会保険料を2019年4月に支払うと、2015年4月分社会保険料にかかる延滞金は2019年4月に確定するため、延滞金に関しては2019年の経費にできるという考え方はできないのでしょうか?
追加の質問で恐縮ですがよろしくお願いします。
ご連絡ありがとうございます。
社会保険料の延滞金については、一般的には債務確定基準で損金算入すべきものと考えられます。
延滞金の通知がどのような形で通知されるのか承知しておりませんが、一般的には、納期限から現に納付されるまでの期間に応じた金額が計算されるものと思われます。したがって、支払利子と同様、期間の経過により債務が確定するものと考えられますが、本体の社会保険料を支払った時点で支払金額に係る支払日までの延滞金の額が確定するものと思われますので、その時点で損金算入をすることが認められるものと思われます。
服部先生
ご回答ありがとうございます。
社会保険の本体部分と延滞金とでは分けて考えてみます。
ご丁寧にご教授いただきありがとうございました。
本投稿は、2019年08月09日 13時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。