所得税と法人税
前期より売上が1000万円増えたので、来期は2人分の報酬を1000万円以内で増やしたいと思います。
所得税と法人税、どちらがお得でしょうか?
税理士の回答

長谷川文男
法人の所得は法人のためにしか使えない。
個人の所得は法人のために使おうと思えば、貸付けや増資など考えられるものの、一旦個人の税金を払うことになります。
所得の使える範囲が異なり、同一とは考えられませんが、乱暴ですが無理矢理同一と考え、役員報酬として取るか、法人に利益を残すかでどちらが最終的な負担が少ないかが知りたいことだと思いました。
この質問に答えるためには、たくさんの条件が必要です。
いま現在の、法人所得、役員報酬の額、所得控除額と、売上が増えたことによる利益の増加額(売上が1000万円増えて原価がなく、利益がそのまま増えるとは思えない)、中小企業(資本金1億円以下?)に該当するかなどです。
一般的には、中小企業であれば法人に残した利益800万円までは、法人税と地方税の所得割で20%前半です。超えても超えた部分は30%台です。
これに対し、個人は所得税が課税所得195万円まで5%、330万円まで10%、695万円まで20%、900万円まで23%で、住民税10%を足すとこの辺で法人税等の税率と並びます。これ以上取ると税負担が増えます。
さらに役員報酬には、社会保険の負担もあります。厚生年金は将来もらう額が増えるものの、コレを無視すれば約15%の負担です。
社会保険を支払うことにより所得税は少し安くなるものの、役員報酬は高く取ると負担が増える傾向があります。
各個人の課税所得は330万円以下で、法人の利益(所得)は800万円以下になるよう調整できれば負担が少ないでしょう。
なお、個人は課税所得であり、役員報酬は逆算で求めることに注意してください。
利益が多額であれば、各個人の所得は1000万円未満で、法人の利益は800万円以下が負担が少なくなることもあります。
なお、個人としてお金が必要なら、必要額は取らないと生活できませんから必ずしも負担額だけで判断すべきではないと思います。
本投稿は、2022年05月11日 15時27分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。