財産債務調書の過少申告加算税の増減の範囲に、自社株記載時の役員報酬は含まれるか。
財産債務調書の提出義務者が財産債務調書を提出すると、
調書に記載がある財産債務に関して所得税の申告漏れが生じたとき、提出しない場合と比べて過少申告加算税が10%減額されますよね。
自身が代表を務める法人の税務調査で、経費が認められず、
自身への役員報酬の扱いになったとき、調書に自社株を記載していたら過少申告加算税が減額されるのでしょうか。
財産債務に関する所得税の申告漏れの範囲がよく分かりません。
自社株の場合、配当金や株式売却益だけなのでしょうか。
税理士の回答

過少申告加算税等の加重措置における「財産債務に係る所得税等」とは、財産債務に関して生ずる次の所得に対する所得税等とされています。
① 財産から生じる利子所得又は配当所得
② 財産の貸付け又は譲渡による所得
③ 財産が株式を無償又は有利な価額で取得することができる権利等(いわゆるストックオプション等)である場合におけるその権利の行使による株式の取得に係る所得
④ 財産が生命保険契約等に関する権利である場合におけるその生命保険契約等に基づき支払を受ける一時金又は年金に係る所得
⑤ 財産が特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権その他これらに類するもの(以下「特許権等」といいます。)である場合におけるその特許権等の使用料に係る所得
⑥ 債務の免除による所得
⑦ 上記①から⑥までの所得のほか、財産債務に基因して生ずるこれらに類する所得
したがって、「財産債務に係る所得税等の申告漏れ」とは、財産債務に直接基因して生ずる上記の所得に対する所得税等の申告がなかったこと又は申告額が過少であったことをいいます。
上記のような経費を否認されて役員報酬と認定されることは「財産債務に直接基因して生ずること」にはなりませんので、対象とはなりません(株主である立場と経営者である立場は直接因果関係はありません)。
なお、おっしゃる通り、自社株の場合、配当金や株式売却益が対象となります(①②に該当)。
ちなみに、軽減される加算税は5%です。
どうもありがとうございました。
なお、税率に関してですが、提出しないと5%加算され、提出すると5%軽減されるので、
「提出しない場合と比べて過少申告加算税が10%減額」となると思うのですが。

そういう意味でしたら10%の減少になりますね。
本投稿は、2021年04月11日 09時00分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。