暗号資産による一部の給料支払いは可能でしょうか?
給与デジタル払い、23年春にも解禁 政府が最終調整
との記事の様に法定通貨以外での給与支払いが規制緩和されてきています。
今回の規制緩和では暗号資産は対象外のようですが、暗号資産での給与支払いは法律上できないのでしょうか?
また、一部の給与を暗号資産払いすることは可能なものでしょうか?
ご見解頂けますと幸いです。
税理士の回答
未だ調整中の法的案件ですし、一介の税理士の立場でモノ申す話ではありませんが、私の見解として述べさせて頂きます。
賃金の支払いは労働基準法24条で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定められています。
デジタル払いは、銀行以外の資金移動業者が管理するキャッシュレス決済口座への送金とされ、代表的なものがペイペイなどの決済アプリで銀行口座を介さずに直接決済サービスを通じて支払いができるメリットがあります。給与デジタル払いが解禁されると、銀行口座を介さずに資金移動業者が提供するスマホ決済、プリペイドカード、電子マネーなどのデジタルマネーで給与を受け取ることができるようになると想定されます。
しかしながら、「ビットコイン」といった仮想通貨などの暗号資産は日本円や米ドルといった法定通貨ではなく独自の通貨単位です。上記のデジタルマネーと異なり相場に左右されるため円貨との恒常的な等価性がなく、価格変動が極めて激しいことが懸念されますので、(賃金受給者の不利益(有利な場合もあるが)となる可能性があるため)給与デジタルマネー払いは対象外と考えます。
小川様、お忙しい所ご意見頂き誠にありがとうございます。給与払いで暗号資産を用いる事はできないとのこと大変参考になりました。
従業員と事前の契約がある前提で、会社が福利厚生として給与一部を暗号資産積立を行うことは、現行法として問題ない理解は正しいでしょうか?
現在も401Kのような形で、給与の一部を投資信託などで積みたて可能なので、同一スキームで可能ではないかと考えております。
お忙しいところ恐縮ですが、お手すきの時にご意見頂けますと幸いです。
こちらのご相談も税理士としてお答えするのは多少難がありますが、あくまで意見として述べさせて頂きます。
実態として給料を一旦支払っている前提のうえで、受給者が自己の裁量でその給料で投資等を行うのは問題ありません。現行では例えば社内預金のように毎月の給料を天引きして積立金にしていくタイプが存在します。ご相談の場合はこちらに該当するものと思われますので特に問題ないと考えますが、従業員との契約内容を含めて詳しくは社会保険労務士や弁護士等にお尋ね頂くことをお勧めします・
なお、社内預金であっても、その積立金等を毎月の賃金から控除するためには、賃金控除に関する労使協定の締結が必要になりますし、労働者には自己の意思に反して社内預金を行う義務はありません。預金を強要したりすることは労働基準法に違反し認められません。
小川様、お忙しい所大変ありがとうございました。
大変よくわかりました。実施検討にあたりご相談することあるかもしれませんが、その節は何卒宜しくお願い致します。
本投稿は、2022年10月16日 20時14分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。