売上計上の実現主義から発生主義への変更について
月単位でサービスを提供し売上を上げています。開業当初、サービスに納得いただけない場合は無料、納得いただければ入金してくださいとの契約内容であったため入金時に売上が確定するとの考えのもとに、入金時に売上計上していました。
その後サービスの質が上がり、年間契約で、月ごとに支払っていただける契約をもらえるようになったため、入金時の売上計上はふさわしくないことになっていると思います。現在別件で数期前の開業時からの修正申告が必要となったため、1これを機に開業時から発生主義に変更する、2古い契約のお客様は入金時のままで、新規の契約のお客様から発生主義にする、3納得がいただけない場合無料の制度をやめた一定の時期から発生主義に変更する(この場合変更した月の売上が2倍になり不自然でないかが心配です)などへの変更を考えておりますが、よい方法があれば教えてください。よろしくお願いいたします。
税理士の回答

北田悠策
ご回答申し上げます。
売上を計上するためには、金銭授受に関する法的に強制可能な権利を有していることが必須になります。
そのため、「納得がいただけない場合は無料」との条項が契約に含まれている場合は、サービスの提供段階では売上を計上することはできず、入金が確定した時点(実際に入金された時点又は入金する旨の通知を受けた時点など)に売上計上することになります。
売上計上基準を決定するにあたっては、契約内容をベースにしますので、ほとんどの顧客から入金していただける状態になったとしても、「納得がいただけない場合は無料」との条項が契約に含まれている限りは、入金が確定した時点で売上計上する必要があります。
したがいまして、「年間契約で月ごとに支払っていただける契約」の売上はサービスの提供時点、「開業当初の契約」については入金時点で売上計上することになります。
(ご質問に記載いただいている2に該当します)
ただし、複数の売上基準を併用すると管理が煩雑になりますので、開業当初の締結した契約の内容変更を顧客に要請していくのが宜しいかと存じます。
以上、ご参考になりますと幸いです。

高橋克徳
はじめまして。
具体的な契約内容やサービスの内容によっては異なる判断もあり得るとは思いますが、一般的に、人的役務の提供による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日が事業所得の収入金額を収入すべき時期とされていますし、売上管理の観点からもお考えのように発生主義に統一されるのが宜しいかと思います。
今後どうするかについては、個人的には特定月の売上が不自然に増加することを踏まえても3の方法が妥当なのではないかと考えます。
まず、2の方法によると現時点での契約内容が同じであるにもかかわらず発生主義の処理と現金主義の処理が混在してしまい、税務調査があった場合、現金主義の分について売上計上のタイミングが遅いと是正される可能性が高いと思います。
1の方法は保守的ではありますが、売上計上のタイミングについてはどこかで是正されていれば過去まで遡って是正される可能性は低いと思われます。実際に税務調査で売上計上のタイミングについて是正される場合も、過去まで遡って是正されることはまれで、最終期のみの是正で処理されることがほとんどです。
ご参考になれば幸いです。
本投稿は、2023年08月22日 22時47分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。