国・地方公共団体 受託事業に関する報酬の消費税の取り扱いについて
国や地方公共団体からの受託事業を受け、報酬を受領しております。
当該事業では、行政が受託先企業を選定し、所定の業務を完了後、完了報告書を提出します。報告内容に問題がなければ、報酬が支払われる仕組みです。
報酬の内訳は以下の通りです。
・人件費(実際に稼働した人の給与を基に算出)
・必要経費の実費相当額
ただし、行政の判断によって、この報酬が消費税の「課税対象」か「対象外」かが分かれることがあります。
この点について、たとえ行政から「非課税」または「対象外」と指定されたとしても、実質的に対価性が認められる場合には、課税対象となるのではないかと判断に迷うことがあります。
また、請求書の発行に際して、仮に「対象外」とされた取引を「課税」として処理してしまうと、請求額のうち消費税10%相当分が値引き扱いとなってしまうのではないかという懸念もあります。
つきましては、このような場合の会計処理および消費税の取り扱いについて、ご教示いただけますと幸いです。
税理士の回答

松田光弘
>この点について、たとえ行政から「非課税」または「対象外」と指定されたとしても、実質的に対価性が認められる場合には、課税対象となるのではないかと判断に迷うことがあります。
消費税の課税対象になるかどうかは、基本的には対価性の判断によりますが、実は政策上の理由から消費税を課すべきでないとされる取引については消費税が非課税になることが定められています。
その代表的なものは住宅家賃ですが、質問主様の業務が以下のサービスに関わるようなものであった場合、消費税の非課税取引に該当することがあります。
・社会福祉事業等によるサービスの提供等
・助産
・火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
・一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
・学校教育
したがって、行政側で消費税非課税と判断した業務については、上に述べた視点からご確認をいただくことをお勧めします。
>また、請求書の発行に際して、仮に「対象外」とされた取引を「課税」として処理してしまうと、請求額のうち消費税10%相当分が値引き扱いとなってしまうのではないかという懸念もあります。つきましては、このような場合の会計処理および消費税の取り扱いについて、ご教示いただけますと幸いです。
会計処理としては、仮受消費税を計上せずに売上のみ計上してください。
〇売掛金110/売上高110
×売掛金110/売上高100
仮受消費税10
消費税の申告上は、この取引に関しては消費税は受け取っていないで申告することになります。詳しく言えば課税売上でなく、非課税売上に該当するものとして申告することになります。
非課税売上高の多寡は質問主様の事業規模や課税売上の割合によって消費税の仕入税額控除に関係してきますので、もしご不安がありましたら個別に税理士へお問い合わせください。

行政との間で、消費税の判断について、見解に相違があり、行政が消費税の対象外としたにもかかわらず、貴社が消費税の課税対象として申告された場合には、会計処理として、税込経理を採用されている場合は、その売上に対する10%相当は、売上高として処理することになります。また、税抜経理を採用されている場合は、仮受消費税として処理することになります。消費税の申告をするにあたっては、その10%相当額は、消費税としてもらったものとして申告します。そのため、行政から消費税をもらっていないにもかかわらず、消費税を支払うことになるので、実質的には消費税分値引きともいえます。
基本的には、消費税の課税、非課税の判定は、法律に従い判断するので、行政機関との見解の相違は考えにくいですが、見解は統一すべきかと思います。税法の解釈で行政と相違されるようでしたら、個別に詳しい税理士にご相談されることをお勧めします。
本投稿は、2025年06月11日 15時20分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。