組織再編時の税制について
社とB社があります。
A社のa事業とB社のb事業を切り離して新設のC社を設立します。
分社型新設分割(共同新設分割)、分割対価は株式、適格要件を満たしているとします。
a事業:資産50 負債30
b事業:資産70 負債20
各社の仕訳は次のようになると思います。
A社仕訳
負債 30/資産50
C社株式20/
B社仕訳
負債 20 /資産70
C社株式50 /
C社仕訳
資産120/負債 50
/資本金70
上記の状態ですとここでA社、B社のC社に対する出資比率は28.6%と71.4%になります。これを50%,50%の均等持ち分にするにはどうすればよいのでしょうか?その際に財務上気を付けなければならない事項についても教えてください。
税理士の回答
これを50%,50%の均等持ち分にするにはどうすればよいのでしょうか?
そもそも、C社に分割移転する純資産(資産-負債)がA社とB社では異なりますから、その分割対価であるC社株数も当然に異なりますので50:50にはできないと思います。
ありがとうございます。共同新設分割の場合の出資比率はA社、B社の純資産の比率で出資割合が決まり、それ以外はあり得ないということでしょうか?
先の先生がご指摘の通り、持ち込む価値がそれぞれ異なるので、いまのままで出資比率を対等(50:50)にすることは出来ないと思います。
ただ、事業で必要となる初期資金(現預金)をA社側が30工面し、A社が拠出する純資産を50としてはいかがでしょうか?その場合、A社、B社ともに等価を拠出しているので出資比率も50:50だと思います。
なお、負債を拠出しない、ということでも同様の効果になると思います。
ご記載の前提ではそのようになります。
両先生ありがとうございます。大変助かりました。ちなみに両社の資産、負債を時価評価して簿価ではなく実際の価値に近づけたほうが税務上は安全なのでしょうか?
適格組織再編は簿価引継ですので、時価評価ではありません。
税務上安全という質問の主旨がわかりませんが、その組織再編が税制適格か非適格かで、資産・負債を簿価で引き継ぐのか時価で引き継ぐのかが決まるのですから、考え方の順番が逆です。
ありがとうございます。山本先生よりご回答いただいた出資比率を工面する前にAが現金30を工面する件ですが、この30はAとBの簿価ベースでの純資産の差額で、もし税務調査官が「本来の価値は時価なので、現金を工面するなら時価で算出した本来の価値で算出すべきだ」と指摘する恐れがあると思ったのですが、そんなことは気にしなくても良いということでしょうか?
私見となります。
共同事業再編における適格分割の要件のひとつに事業移転要件(分割事業の主要な資産・負債が移転し従業員の概ね80%以上が分割承継法人に引き継がれること)があり、A社の移転資産80(50+30)が本来移転すべき資産を超えているのであれば、適格分割としては認められない可能性があると思います。
対価交付株式の保有比率の調整のための移転資産の調整が適格であると認められるのであれば、恣意的に分割資産を変更できることとなり、組織再編税制そのものが形骸化すると考えられるからです。
従いまして、税制適格を前提に出資比率を同じにしたい、ということは相容れないと思います。
冒頭の通り、上記はあくまで文面からのみの私の見解であって、組織再編税制は個別のスキームによって判断する必要がありますので、具体的スキームを以て直接専門家にご相談いただくか、国税庁に文書照会をしてください。
前田先生のおっしゃる通りかと思います。
(※前田先生、ありがとうございます。)
補足ですが、現預金をA社のほうで30工面することの合理性については、ある程度説明可能だと思うので、さほど心配しなくても良い気はします。すなわち、「比率調整のため」では無く、将来的な事業遂行のために必要な資金をどちらが用立てしたのか、というだけの話として整理されるべきと思います。
一方で、前提条件にある「適格要件を満たす」という部分に否定される懸念がおありなのであれば、(私見ですが)おそらく適格要件を満たすのは難しい事案なのかなと感じました。
税制適格要件は、基本的に「内輪/身内でのイベント」で、利害対立が起きない場合を想定しているはずなので、まずは要件を満たせるかどうか、を専門家に照会いただくべきと思いました。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。書籍などで調べてもずばりこの部分について載っているものがなかったので、質問させていただきました。両先生大変ありがとうございました。
本投稿は、2021年01月15日 13時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。