農業基盤強化準備金について
当期確定した交付金について、一部を当期取得した農用地等の圧縮記帳処理をし、残りを積立金処理することはできるでしょうか?
例 前期以前 積立金なし
当期 交付額200万円
当期 土地100万円取得
固定資産圧縮損/土地 999,999円
準備金繰入 /準備金積立金 1,000,000円
税理士の回答

土師弘之
「農業経営基盤強化準備金」とは、「農業者が、経営所得安定対策等の交付金を農業経営改善計画などに従い、農業経営基盤強化準備金として積み立てた場合、この積立額を個人は必要経費に、法人は損金に算入できます。
さらに、農業経営改善計画などに従い、積み立てた準備金を取り崩したり、受領した交付金をそのまま用いて、農用地、農業用の建物・機械等を取得した場合、圧縮記帳ができます。」という制度です。
つまり、準備金に積み立てることを前提として法人の損金に算入し、固定資産を取得した場合には、準備金を取り崩して圧縮記帳することにより課税されないようにすることとなります。なお、準備金として残っている部分の金額は積み立てた年度から5年経過した年度で益金に算入されます。
よって、交付金は準備金として積み立てることを前提としていますので、固定資産に建てた残りの部分の金額は当然積立金処理することができます。また、この残金を使用しなければ5年後に課税対象となります。
ご回答ありがとうございます。調べたところ、資産に対して租税措置法は重複適用できないとのことなのですが、交付金に対しては租税措置法である積立と圧縮記帳の重複適用は可能ということで合っていますか?

土師弘之
圧縮記帳は法人税法の規定ですので、租税特別措置法の重複適用にはなりません。したがって、準備金の損金算入(圧縮記帳をするためには取り崩しが必要)と圧縮記帳はそれぞれ別のものとして適用できます。
何度もすいません。もう一点だけお願いします。
法人申告書の適用額明細書の記載に、圧縮額は61条の3、積立額は61条の2とあるのですが、圧縮は措置法ではないですか?

土師弘之
少し説明(表現)が悪かったかもしれませんが、元々「圧縮記帳」というのは法人税法上の概念です。
61条の3の条文では「61条の2の準備金のうち」としていますので、61条の2て適用される準備金を取り崩せば、61条の3の圧縮記帳にも適用できるという規定を定めているの過ぎないということになります。そのため、61条の2の規定と61条の3の規定を同時に適用できないという表現はありません。
よって、61条の3の規定と62条の3の規定は同時に適用できるということになります。
なお、適用額明細書では、この準備金でもって圧縮記帳した場合には61条のの3を適用したことになります。
細かく対応していただき、ありがとうございました。
本投稿は、2023年07月20日 07時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。