グループ法人について教えてください。
新たに法人設立予定で、グループ法人税制の対象になります。
その時に取引が発生する予定ですが、市場価格であれば問題ないでしょうか?
また、出向か業務委託など経費の按分についても考える必要あるのでしょうか?必要であればどういう経費について按分が必要か教えてください。
税理士の回答

【1】グループ法人税制と市場価格での取引について
・100%グループ内の取引は、原則として譲渡損益の繰延が適用され、時価評価は不要(法人税法61の17等)。
・ただし、市場価格(時価)での取引にしておくことで、第三者との比較や税務否認リスクを回避しやすい。
・特に将来的に外部への売却等が想定される資産は、時価ベースでの帳簿管理が実務上望ましい。
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【2】出向・業務委託における経費按分の必要性
・グループ内で人員や業務を共有する場合、適正な費用負担が求められる(移転価格対応)。
・以下のようなケースでは、合理的な按分基準を定め、経費配分の根拠を明確にしておくことが重要。
【出向の場合】
・出向元が給与を支払い、出向先がその費用を負担(給与負担金)。
・労働時間や勤務実態に応じた按分が必要。
・不当に安価な負担金では寄附金認定のリスク。
【業務委託の場合】
・委託料は直接経費+適正利益を含めて設定。
・共通経費は利用割合などに応じて按分が必要。
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【3】按分が必要な主な経費と基準例
・給与・役員報酬:勤務時間、業務内容による按分
・オフィス賃料:使用面積、在籍人数による按分
・通信費・光熱費:使用時間、部門別利用割合
・会計・法務費用:利用回数、売上比
・システム利用料:ID数、使用頻度
ありがとうございます。
グループ法人の経営書でおすすめの書籍などありましたら、教えていただけないでしょうか。

以下に、グループ法人税制・連結経営・子会社管理に役立つ実務寄りの書籍を厳選してご紹介します。税制・経理・ガバナンスの3軸で分類しました。
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【1】税務・会計編:グループ法人税制・連結納税の理解に
●『グループ法人税制の実務Q&A』(税務研究会出版局)
• グループ法人税制(100%グループ内の取引、損益繰延、寄附金認定など)を事例ベースで丁寧に解説。
• 実務でありがちなミスや税務調査対策にも言及。
●『連結納税の実務と申告書の作成』(中央経済社)
• 連結納税制度の概要と、グループ内の取引や繰延損益処理、申告書作成までを網羅。
• 連結納税を将来導入する場合にも参考になります。
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【2】経営・管理会計編:グループ経営・子会社管理のために
●『グループ経営戦略とマネジメント会計』(中央経済社)
• グループ会社間の資源配分、利益管理、内部取引の管理について体系的に解説。
• 管理会計的な視点から、業務委託・出向の費用配分にも応用できます。
●『ホールディングスカンパニーの経営戦略と実務』(日本能率協会マネジメントセンター)
• グループ経営体制(持株会社含む)の運営、親子会社間の支配と独立のバランス、ガバナンス対応に強い一冊。
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【3】コンパクトな入門書
●『図解 グループ法人税制がよ~くわかる本』(秀和システム)
• 初学者・経営者向けに平易な言葉でまとめられた入門書。
• 図や表が多く、仕組み全体の理解に最適。
本投稿は、2025年05月03日 08時38分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。