仮払消費税の処理について
お世話になります。商品を輸入で仕入れた際の仕訳についてお聞きしたいことがございます。
税込経理です。
仕入れた際に、輸入消費税を仮払消費税で計上しており、決算仕訳で仮払金に振り替えました。
この振り替えは租税効果にするべきだったのでしょうか?
今期でその仮払金が残ったままで、どの段階で消えるものなのか気になりました。
ご教示いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
税理士の回答

税関に納めた輸入消費税は仕入税額控除の対象となりますので、
国内消費税と同様に、仮受消費税と相殺します。
◆支払時
仮払消費税(輸入分) 10,000 / 現金預金 10,000
◆決算
仮受消費税 100,000 / 仮払消費税(国内分) 50,000
/ 仮払消費税(輸入分) 10,000
/ 未払消費税 40,000

佐藤和樹
結論から言うと、「仮払消費税等」から「仮払金」への振替は租税効果会計とは無関係です。
これは単純に消費税の処理区分の変更であり、法人税などの税効果処理(繰延税金資産等)とは別物です。
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【詳しい解説】
■輸入消費税の性質
輸入消費税は、日本国内の取引ではなく、「関税」と一緒に扱われる形式で納付するため、通常の仕入に伴う消費税とは少し取り扱いが異なります。
■仕訳の一般的な流れ
(輸入商品代金 1,000,000円、輸入消費税 100,000円)
1. 仕入時
仕入 1,000,000 / 買掛金 1,000,000
2. 輸入消費税納付時
仮払消費税等 100,000 / 未払金 100,000
※税関からの納付書などに基づき処理
3. 決算時に「仮払金」へ振替した処理
仮払金 100,000 / 仮払消費税等 100,000
→ この処理は「一時的に立替払した」という実態に近づけた形です。
→ 本来は「仮払消費税等」で持っておいて、翌期の確定申告で「課税売上に対する控除対象仕入税額」として処理するのが一般的です。
■仮払金が残る理由
「仮払金」で処理してしまったことで、本来「消費税の中間納付・還付」の中で処理されるべきものが、別の科目に隔離された形になっています。
つまり、「仮払金」のままでは、消費税申告に反映されません。
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【対応策】
もし「仮払金」のまま残っていて、消費税申告にも未反映であるなら、次のいずれかの処理が必要です。
1. 消費税申告書を訂正し、当該金額を「控除対象仕入税額」に含める
2. 修正申告または更正の請求を検討(期限内であれば)
または、
3. 翌期の経理で「仮払金」→「仮払消費税等」へ戻す仕訳を入れ、消費税申告に反映する
仕訳例:
仮払消費税等 100,000 / 仮払金 100,000
佐藤先生
とても詳しくご説明いただきありがとうございます!
特に振替えはせず、仮払消費税のまま残しておいてよかったということですね。(間違っていたらすみません)
とても基礎的な話で申し訳ないのですが、税込経理の場合でも輸入消費税がかかった場合は仮払消費税で仕分けしないといけないものなのでしょうか?商品代と一緒に仕入で計上するという話も聞くのですが...関税は仕入に入れています。
ご回答いただけると幸いです。
本投稿は、2025年07月15日 20時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。