30周年記念式典に係る各種費用の勘定科目および税務上の取扱いについてご教示ください。
弊社では、令和8年2月に創立35周年記念式典を開催予定です。
本式典では、ドローンショーの実施や記念品配布、飲食の提供等を予定しており、以下の費用が発生(または発生予定)しています。
【発生費用の内容】
・ドローンショー費用 13,000,000円
・記念Tシャツ配布に伴う刺繍代、Tシャツ代
・飲食代
・講演代
・宿泊代
・お土産代
・会場設営等に係る備品代
【参加者】
・一般の方(招待制)
・取引先(招待制)
・自社の社員
・社員の家族
なお、参加者はいずれの区分であっても、記念Tシャツを含むお土産等を一律に受け取る形となっております。
上記のように参加者が混在している場合において、
各費用について適切な勘定科目(交際費・福利厚生費・広告宣伝費 等)および税務上の論点についてご教示いただけますでしょうか。
また、正確な税務判断を行うために、追加で必要となる情報があれば併せてご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
税理士の回答
1. 基本的な考え方(勘定科目・税務区分の軸)
創立記念式典では、「誰を対象に」「何の目的で」支出したかで勘定科目・税務上の区分が変わります。
1-1. 対象者別の基本区分
取引先(招待制)、一般招待客(事業関係者)の接待
→ 通常は交際費等(措置法61条の4、同通達)
自社社員・社員家族向け(慰安・福利目的)
→ 一般的には福利厚生費
不特定多数へのPR・宣伝目的
→ 広告宣伝費(不特定多数に対する宣伝かどうかがポイント)
1-2. 創立記念品・式典全体の特徴
創立記念品等は、
おおむね5年以上の間隔
社会通念上相当な価額
であれば給与課税しない扱いが認められています(従業員向けの記念品や旅行招待等)。
社外向け記念品は、
取引先等への贈答 → 交際費
不特定多数への配布・宣伝 → 広告宣伝費
という整理が一般的です。
2. 項目別の勘定科目・税務上の論点
参加者が混在している場合は、可能な限り対象者別に按分し、それぞれの性格に応じて処理するのが基本です。
2-1. ドローンショー費用(13,000,000円)
性格の判断
創立記念式典内のアトラクションとして、主として招待客・取引先・従業員向けに提供するエンターテインメント
一般公開イベントとして不特定多数に向けて企業PRを行うかどうかで区分が変わる
勘定科目の可能性
【不特定多数に対するPRが明確な場合】
例:一般向けに広く告知し、ブランドロゴ・企業メッセージを組み込んだショー
→ 広告宣伝費(不特定多数への宣伝に該当)
【主として招待制パーティーの余興の場合】
取引先招待分 → 交際費等
従業員・家族分 → 福利厚生費
→ 実務的には「創立記念式典費」などの内訳管理勘定で集計し、税務上は按分して交際費等/福利厚生費に区分するのが一般的です。
税務論点
交際費該当部分は、**交際費等の損金不算入規定(措置法61条の4)の対象
按分基準としては、「参加人数比」や「席・エリアの区分」など合理的基準を検討
2-2. 記念Tシャツ配布(刺繍代・Tシャツ代)+その他お土産代
共通前提
「一般の方・取引先・社員・社員家族が一律同じ記念品を受け取る」とのこと
法人税・源泉所得税の観点から、
社内向け(従業員・家族)
社外向け(取引先・一般招待客)
に分けて考える必要があります。
社外向け(一般招待客・取引先)
取引先や事業関係者への記念品
→ 原則交際費等
ただし、単価が概ね3,000円以下の少額物品で、広告宣伝用として不特定又は多数の者に配布する場合は、交際費等に該当せず広告宣伝費とできる取扱いがあります。
例:ロゴ入りTシャツ・粗品等で、販促目的が明確な場合など
社内向け(従業員・家族)
創立記念の記念品として、
社会通念上相当な価額(タックスアンサーNo.2591では10,000円以下が一つの基準)
おおむね5年以上の間隔
を満たす場合、給与として課税しない福利厚生の記念品とされます。
→ 勘定科目は福利厚生費(創立記念品費)が一般的。
上記基準を超える高額品・現金・商品券・カタログギフト等で自由選択制の場合は、給与課税(源泉徴収要)となる点に注意。
実務上のポイント
一律同じTシャツでも、社外向け部分は交際費/広告宣伝費、社内向け部分は福利厚生費として人数按分するのが望ましい。
「1人当たりの単価」「配布対象」「ロゴ・メッセージの有無」「販促目的の有無」を明確にしておくと、交際費か広告宣伝費かの判断がしやすくなります。
2-3. 飲食代
対象別の基本区分
取引先・一般招待客への飲食提供 → 原則交際費等(接待飲食費)
従業員・家族への慰労目的の飲食 → 一般的には福利厚生費(社員旅行・懇親会等と同様)
交際費としての税務上の取扱い
1人当たりの飲食費が一定額以下であれば「接待飲食費」として交際費等のうち損金算入割合の特例対象になるなど、金額・法人規模に応じた取扱いがあります(詳細は最新の措置法61条の4および通達)。
参加者が混在する場合は、「取引先・一般招待分」と「従業員・家族分」を人数等で按分し、それぞれ交際費等/福利厚生費へ区分するのが望ましい。
会議費との区別
「打合せ・会議」に付随する簡易な飲食は会議費となり得ますが、創立記念式典の飲食は通常「接待・慰安」が主目的であり、会議費ではなく交際費等または福利厚生費と整理するのが自然です。
2-4. 講演代
勘定科目
創立記念式典の講師への謝金
→ 勘定科目としては支払手数料、講演料、雑費等(費用性質に応じた一般的な処理)
源泉徴収の要否(所得税)
講演料は、原則として報酬・料金として源泉徴収の対象となります(所得税法204条、タックスアンサー等)。
個人への支払であれば、10.21%(復興特別所得税含む)での源泉徴収が必要なケースが多いです。
法人への支払は源泉徴収不要が一般的ですが、相手方の属性確認が必要。
法人税上の区分
講演料は、接待の趣旨が強い場合でも通常は交際費等ではなく普通の支払報酬として取り扱うのが一般的であり、交際費等の限度額計算には含めません。
2-5. 宿泊代
取引先・一般招待客の宿泊費
式典参加のために会社が負担する宿泊費
→ 原則交際費等として扱われます。
(接待の一環としての旅費負担と同様)
従業員・家族の宿泊費
社員慰安旅行・社内行事と同様の扱いで、
全従業員を対象とした行事
社会通念上相当な内容
であれば、福利厚生費として処理するのが一般的。
高額・選抜的・個人的な性格が強い場合は、給与課税リスクもあるため、企画内容の妥当性検討が必要。
按分
宿泊費も「取引先・一般招待客」と「従業員・家族」で人数や部屋数に応じて按分し、交際費等/福利厚生費に区分。
2-6. 会場設営等に係る備品代
性格
会場装飾、音響・照明、備品レンタル等、式典全体に関する共通費用
勘定科目
実務上は会場費、式典費、イベント費、会議費(性格による)などで一括計上し、決算・申告時に交際費等・福利厚生費・広告宣伝費等へ内部按分する運用が多いです。
税務区分
不特定多数向けの公開イベントとしての性格が強い場合
→ 広告宣伝費相当部分あり
招待制のパーティーとしての性格が強い場合
→ 取引先・一般招待客分:交際費等
→ 従業員・家族分:福利厚生費
3. 交際費・福利厚生費・広告宣伝費の主な論点整理
交際費等の範囲
得意先・仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、贈答等のための支出
創立記念パーティーへの招待・飲食・名目上の旅費・タクシー代等も交際費等に含まれるとされている裁決・解説があります[5]。
少額な記念品・販促品の取扱い
単価3,000円程度以下のノベルティや販促品などは、一定の条件で交際費等から除外され、広告宣伝費として処理できる取扱いがあります。
「不特定多数」「販売促進・宣伝目的」がキーワード。
福利厚生費該当性(従業員・家族)
全従業員を対象とする行事や記念品で、
社会通念上相当な金額・内容
一定期間ごとの行事であること(創業記念品等はおおむね5年以上の間隔)
であれば、給与課税不要の福利厚生費として認められます。
源泉徴収の要否
講演料:報酬・料金として源泉徴収対象(個人に対する支払の場合)
従業員への現金・商品券等:原則給与として源泉徴収対象
記念品(物品)は要件を満たせば非課税福利厚生とされ、源泉徴収不要。
本投稿は、2026年01月06日 11時25分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







