一般社団法人の基金の計上の仕方および決算について
一般社団法人(非営利目的/認定資格などを発行したり通信講座をおこなう団体/今年設立で初年度)で経理を担当している者です。
以下について知恵をお貸しください。
①設立時に後から返すという約束で基金をいただいています。
これをどのように計上したらよいのか分かりません。
(経理ソフトを使っているのですが、「基金」という項目がなく「寄付」という項目があるため、今はそれで入力しています。)
②決算があるのですが、何を用意したらよいのか分かりません。
全くの素人が経理を担当することになったため、もしかしたらトンチンカンな質問をしているかもしれませんがご容赦願います。
どうぞお力をお貸しいただければ感謝です。
よろしくお願いします。
税理士の回答
東京都中央区の小林税理士事務所 小林拓未と申します。
①設立時に基金を受け入れているということですが、「寄付」という科目は、どちらに計上されているでしょうか。通常、「基金」という項目で処理します。純資産の部に計上される科目です。
会計ソフトをお使いのようですが、一般社団法人用ではないのかもしれません。その場合、科目名を変更する必要があります。「資本金」科目を、「基金」という科目に変更して下さい。
②決算があるということですが、まずは会計ソフトの入力が必要です。とりあえず、決算日の現金残高、通帳の残高と会計ソフトの科目の残高と一致させることから始めて下さい。非営利の法人のようですが、収益事業を行っているようですと、部門を分ける必要があります。
もし、9月決算なら相当急ぐ必要がありますし、10月決算でも作業を進めて、監事の監査、社員総会での決算の承認、それに伴う事前準備が必要です。
また、税務署などに「法人設立届出書」や「給与支払事務所等の開設届出書」などは提出されているでしょうか。そろそろ年末調整の準備も必要ですし、会計ソフトの最初の入力は、「法人設立届出書」の添付書類である「設立時の貸借対照表」と一致させますので、ご確認下さい。
分かりにくい箇所がございましたら、お手数ですが、再度ご質問下さい。
早速お教えいただき、しかも親切丁寧にご回答いただき誠にありがとうございます。
私が不案内なため、理解できた部分とあまりよく理解できていない部分があるため、更にご質問させていただいてもよろしいでしょうか?
>非営利の法人のようですが、収益事業を行っているようですと、部門を分ける必要があります。
①部門を分けるとはどういう意味でしょうか?
私どもは教育関係の社団でして、講座代金を受講生から受け取り、業務一切に関しては他会社へ業務委託しているのですが、
②講座代金入金は「売上」として計上するものなのでしょうか?
③「監事の監査」とは書類を作成しておくということでしょうか?
ネット上にあるひな型で作成するくらいでよいものでしょうか?
④「社員総会での決算の承認」とは、総会を開いて③のように書類を作成するということでしょうか?
⑤④に伴う「事前準備」とは、どのようなものがあるのでしょうか?
⑥一般社団法人の決算で必要な「書類一式」を教えていただけますと感謝です。
お忙しいところ大変恐縮なのですが、上記に関してご教授いただけますと感謝です。
よろしくお願いします。
回答申し上げます。
①部門を分けるというのは、収益事業、非営利事業、それぞれの利益を算出するという意味です。「収益事業」の収入・費用、「非営利事業」の収入・費用をそれぞれ分けておく必要があります。「収益事業」は、寄付や会費収入以外の事業、であり、具体的には、下記の事業が挙げられています。
物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、人材派遣業、遊覧所業、医療保健業、一定の技芸教授業等、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供等を行う事業
②講座代金は、売上、というよりは、講座収入、などの名称の方が適当かと存じます。
③監事の監査、というのは、監事がいれば、決算の承認を行う前に、監事にチェックしてもらう手続きです。
④社員総会の決算の承認は、決算書を作成して、社員(従業員ではない)に報告し、承認を得る手続きです。
⑤事前準備というのは、例えば社員総会の日取りの決定、社員総会の決議事項のリストアップ、社員総会招集通知の作成、議事録の準備、というような内容です。
⑥決算に必要な書類は、貸借対照表、正味財産増減計算書(損益計算書)、収支計算書、財産目録、付属明細書、監事監査報告書、など、が挙げられます。
再度ご丁寧に教えていただき、本当にありがとうございます。
①に関しまして
法人税法上の収益事業は34業種定められているということですが、私どものような教育関係の社団(講座やセミナーの実施、認定試験の実施と資格発行)はその範囲内なのでしょうか?
「一定の技芸教授業等」を詳しく見ると、列挙されているものの中に該当するものが見つけられずにいたものですから。
もしこの34業種に当てはまらない場合は、「非営利事業」の部門だけでよいものでしょうか?
②講座代金は、売上、というよりは、講座収入、などの名称の方が適当かと存じます。
➡なるほど、そうなんですね!教えていただき、ありがとうございます。
売上は売上でも名称を変えた方がいいんですね。
③監事の監査、というのは、監事がいれば、決算の承認を行う前に、監事にチェックしてもらう手続きです。
➡はい、承知しました。書類を作成しなければならないんですね。
④社員総会の決算の承認は、決算書を作成して、社員(従業員ではない)に報告し、承認を得る手続きです。
➡これはまず決算書(損益計算書、貸借対照表)を作って、それを承認してもらう会議を開くということですね。
⑤事前準備というのは、例えば社員総会の日取りの決定、社員総会の決議事項のリストアップ、社員総会招集通知の作成、議事録の準備、というような内容です。
これは法人で言うところの、株主総会を開いてその報告書を書くということでしょうか。
⑥決算に必要な書類は、貸借対照表、正味財産増減計算書(損益計算書)、収支計算書、財産目録、付属明細書、監事監査報告書、など、が挙げられます。
➡はい、分かりました。
お忙しいところ何度もお付き合いいただきありがとうございます。
少しずつ光が見えてきたような気がしています。感謝です。
①収益事業に該当するかどうかは、活動内容その他で判断すべきですので、大変申し訳ありませんが、お近くの税理士、あるいは税務署とご相談していただく必要がございます。
②「売上」でダメということではありませんが、「○○収入」の表記が一般的です。
③監事がいらっしゃれば、監査報告書を作成する必要がございます。
④決算書については、ご質問の通りです。
⑤社員総会は、いわゆる株主総会に相当します。社員総会の概要については、定款を確認してください。
⑥決算に必要な書類は、まずは会計ソフトへの入力が終わっていないと、作成できませんので、お急ぎください。
お礼が大変遅くなりました。申し訳ありません。毎回とても親切に教えていただき、本当にありがとうございました。なんとか会計なりそうな気がしてきております。先生にご相談できて本当にありがたかったです。感謝いたします。
本投稿は、2016年10月30日 22時30分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。