海外の証券会社を利用して日本国内の商品を取引した場合の損益の税金区分
海外の証券会社を利用しての日本国内の商品を取引した際の損益の税金区分について質問です。
日本国内の証券会社を利用して日本国内の先物取引所で売買を行った際の損益は、
申告分離課税で申告する必要がございますが、
それは海外の証券会社を利用して日本国内の先物取引所で売買を行った場合でも申告分離課税で申告する必要がございますか?
また、日本国内の株価指数のCFDを海外の証券会社で取引した際の損益の税区分についてもお伺いできればと思います。
(申告分離課税もしくは総合課税。)
国税庁への相談も行っておりますが結論が出ていません。
国税庁によると商品先物取引法2条、及び金融商品取引法に合致する商品であれば、
申告分離課税での申告が必要であるとの御回答を頂いております。
具体的な取引商品は、日経225,TOPIX,JPX400であり、
先物取引については日本国内のJPXで取引を行います。
私は日本国籍,日本居住者です。
質問内容をまとめます。
質問は2件です。
1,海外の証券会社を利用して日本国内の先物取引所で売買を行った場合でも、申告分離課税で申告する必要がございますか?
2,海外の証券会社を利用して日本国内の商品のCFDを取引した場合は、申告分離課税,総合課税のどちらの区分で申告を行う必要がありますか。
以上、一部でも構いませんので、同様の相談を受けたご経験をお持ちであったり、
ご存知の方がおられれば、御回答を頂ければと思います。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
質問者様は「居住者」でありますので、課税方法はともかく申告の必要はあります。
また、「海外の証券会社を利用して」とありますが、これは証券会社に聞かないとわかりませんが、海外の証券会社が日本の取引所で取引をする場合には結果としてその海外証券の日本支店又は、日本の提携証券会社を経由して取引を行うケースであったりします。その場合には国内法の範囲内であると考えられます。
海外の証券会社が日本国内になんのコネクションもなく日本の取引所で取引しているケースはあまり聞いたことがありません。
以上、誤解なきようお願い致します。
福田 様
ご回答頂きまして誠にありがとうございます。
ブローカーは日本の取引所と提携した上で、
その取引所での取引を希望する顧客に対してデータ購読料金を徴収し、
顧客と取引所とを繋いでいる状態です。(日本の取引所の場合)
私のブローカーの場合は日本に支店が無く、
日本人スタッフが1人もいない状況です。
これ以上複数のご回答を頂けない場合は、
念のため法律を良く読み返した上で申告を行いたいと思います。
貴重な解釈を頂きまして誠にありがとうございました。
是非、後の機会に福田浩二税理士事務所様への依頼を検討させていただければと思います。
よろしくお願い申し上げます。
補足です。
また別の法律になりますが租税特別措置法 第四十一条の十四 二に、
[金融商品取引業者又は登録金融機関を相手方として行うものに限る。]との条文を見つけました。
従って日本の金融庁への登録がある金融機関であり、
商品先物取引法及び金融商品取引法に定める商品であれば殆どの場合で申告分離課税での申告が必要になりますが、
今回の私の場合は、日本の金融庁に登録の無い金融機関ですので総合課税での申告が必要かと思われます。
税務署より回答をいただきました。
今回の場合は総合課税での申告が必要です。
やはり、租税特別措置法で定める登録業者を利用するかどうかによって、
同様の商品の取引から発生する損益も申告分離課税か総合課税かに分かれるようです。
国内の証券会社(金融庁登録業者)を利用して、
申告分離課税での申告が必要であると法律で定める商品(国内取引所(先物,株式)での取引,CFD等々)を取引した際に発生する損益は申告分離課税での申告が必要です。
海外の証券会社を利用して金融商品を取引した際に収益が発生した場合は総合課税での申告が必要です。
相談者様は非常に勉強家ですね。一般の人でここまでたどり着く人は非常に少ないです。
当方にはその事実関係はわかりませんが、相談者様のお取引ブローカーとの取引は国外取引に該当し、国内法の範囲外であり、結果的に総合課税になるものと思われます。
インターネットの普及および取引のグローバル化により、相談者様のような取引形態も徐々に常態化しつつあるのかもしれませんね。ただ、危惧するのは、所在地国で金融機関登録をされているのであれば大丈夫だと思いますが、お取引ブローカーの信用性、取引価格の信憑性、突然の口座閉鎖によるトラブル等がないことを願うものです。また、取引明細については当然に日本語訳はないと思いますので現地語の翻訳も必要になります。
余談ですが、現在、日本の国税庁は海外の課税当局との情報交換協定により日本人の国外財産についての情報収集を強化しております。また、5000万円以上の国外財産を保有する居住者については確定申告時に国外財産調書を提出しなければなりません(罰則規定有)。
ご返信いただきましてありがとうございます。
今回の課税区分の判断は租税特別措置法で定める通り、
日本の金融庁に登録されている業者かそうでないかが分かれ目となるようです。
租税特別措置法で言う、[金融商品取引業者][登録金融機関]の定義です。
今回質問させていただく事になったきっかけは、
「国内の取引所での損益だけは他の取引とは別に申告分離課税で申告することができるのでは無いか?」
という私の突飛な思いつきから来ています。
今回それぞれ異なる法律が3つ絡み複雑さを極め、
回答を嫌がる専門家が殆どでした。
その中で税理士では唯一福田様だけがご回答をくださいました。
とても力強く心強い専門家だと思います。
後の機会に是非依頼を検討させていただきたいと思います。
※税理士さんの書き込みは信頼するに値すると思いますが、
今回と同様、または私に近い疑問を呈された方は、
ご自身でも税務署へお問い合わせされて事実をお確かめください。
福田様のおかげでとても有益な情報を得られました。
ありがとうございました。
国外財産調書について補足説明ありがとうございます。
次の投稿では 取引ブローカーの信用性について補足します。
福田様のおっしゃる通りブローカー選び、金融ライセンスもとても重要です。
せっかくですので所得税の話とは異なりますが、
納税以前に重要で国益にも関わる話ですので補足いたします。
(収益を日本国内に引き出すことができた上で納税ができます。)
私が知る限り米国CFTC,NFA登録業者、又はEU加盟国のMiFID規制の範囲内のブローカー、特に英国FCAライセンスがとても厳格なライセンスです。
詳しくはお調べいただきたいと思いますが、
不正が行いにくく、消費者側の味方をするような仕組みが出来上がっています。
日本国内であっても先物取引,オプション,株式等、
相対取引でなければ日本の金融庁の免許で問題ございません。
(相対取引の場合は大なり小なり不正がしやすく、またそれを確かめる術が限られています。)
また、どこの国であっても金融ライセンスを持っていれば何でもいいというわけではありません。
最近は徐々に変わりつつありますが事実上非常に緩く、
問題があっても何もしてくれない、ブローカーの味方しかしない金融当局も存在します。
(実質上、自国の国民に危害を加えないことを条件にライセンスを付与されているような形態が存在します。)
取引価格の信憑性につきましては、
先物取引であればブローカーとの利益相関関係は基本的に存在せず、
トラブルになり得る可能性が低いと思われます。
また、米国の先物取引所はそれ自体が洗練されているため、
そこで主に売買を行うことを選んでいます。
そもそも努力の積み重ねと時に辛い思いもしながら得た資金を拘束され、引き出すことができなくなれば元も子もありません。
先物取引であれば恐らくあまり神経を使う部分ではありませんが、
他の相対取引での取引では特に、ブローカー選びは絶対に重要です。
1つ見極め方として日本の金融ライセンスを持っていない海外のブローカーであるにも関わらず、
日本語のWebサイトが存在し日本語でやり取りできるような相対取引のブローカーは残念ながら殆ど使い物になりません。
(日本の金融庁からの警告を無視している点と、そこから見る規制の緩さによって、他の点の規制も緩い確率が高く実際その様な傾向が高いという事が理由です。)
規制が緩い,無規制ながらも まともな商売をしている会社も一握り(1%未満)存在しますが、
会社を律する様な規制が無い、または非常に緩いため今後もそうとは限りません。
これまでもそうでしたが経営形態の変化等で豹変したりします。
誤解を恐れずに書きますと、巷で聞く情報は薄いか嘘ばかりです。
そもそも入金額以上に利益を出して、それを出金するに至る人が極々稀です。
従って出金拒否を受ける人も極々稀で、その情報が出回るのは更に至極稀です。
また、脅しに屈して書面で口止めされている場合が殆ど毎度です。
そもそも懸念がある組織には最初から近づかない事が大切です。
しっかりと厳格な規制を受けた期間を通した取引であれば絶対と言う事はございませんが、余計な気を使う必要がありません。
金融商品自体とてもお勧めできる代物ではございませんが、
もし取り組まれる場合は、納税以前にブローカー選びもとても重要な点ですので参考になる点がございましたら幸いです。
次の投稿では国外財産調書について質問がございます。
国外財産調書について。
国外財産調書の提出は以下の場合に提出の義務はございますか?
毎年、申告年度の締め時点で資産を日本国内に引き上げており、
その時点で国外財産が5000万円相当額を下回る場合は申告は必要ないとの解釈で正しいでしょうか?
申告する年度の締め時点で国外財産が5000万円相当額を下回っている場合です。
もしくは、申告する年度の締め時点で国外財産が5000万円相当額を下回っている場合、
一時的にでも5000万円相当額以上の財産を国外に保有した場合は提出義務が発生するのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
お褒めの言葉をいただき誠にありがとうございます。
私以上に質問者様の情報収集力は素晴らしいですね。金融関係者でしょうか、はたまた、金融情報収集のプロでしょうか?
税理士業が面白いのは、単に税法の知識(資格)があるからできるのではなく、税法が適用される前提である経済的取引すなわち、「社会のしくみ」を知らなければその適正な法適用ができない点にあり、この「社会のしくみ」を知ることが非常に面白いのです。
今回の質問内容について言うと過去に見た外国証券の日本進出の経済ニュースで「旧大蔵省(現金融庁)の認可を得た後、(東京)証券取引所の会員にならなければ取引が開始できない」とのニュースを見て、こういう場合に「租税特別措置法」に規定されている登録業者の範疇に入り、金融当局のコントロール下にあるため「申告分離課税」が実現するという構図になっているのだなと理解しています(これは厳密に調べた訳でもなく、私個人の理解ですので誤解なく)。
前置きが長くなりましたが、
国外財産調書の提出は、毎年12月31日現在で判定します。従って、それ以外の時に5000万円を上回っていても、あくまでその年12月31日現在下回っていれば提出の必要はありません。
但し、現在日本の金融機関に対しては100万円以上の国外送金・受領については国税庁への支払調書の提出が義務づけられていますので、ご承知おき下さい。
ありがとうございます。
繋がりは現在でもございますが現在は殆ど個人でやっています。
どの職業であっても能動的に根本から理解し、仕事を熟すことで年々仕事が面白くなるものですね。
国外財産調書及び支払調書につてご教示いただきましてありがとうございました。
福田様のおかげで沢山の価値のある情報を得ることができました。
貴重なお時間を割いて御回答いただきまして誠にありがとうございました。
結論です。
・金融庁へ未登録のブローカーを介して取引した結果の収益を申告する場合は総合課税での申告が必要です。
以下、税理士さんから頂きましたご回答の引用を交えます。
・毎年12月31日時点で5000万円相当額の国外財産を有する場合。
国外財産調書の提出は、毎年12月31日現在で判定します。従って、それ以外の時に5000万円を上回っていても、あくまでその年12月31日現在下回っていれば提出の必要はありません。
・100万円相当額以上を日本国内の金融機関で受領する場合。
但し、現在日本の金融機関に対しては100万円以上の国外送金・受領については国税庁への支払調書の提出が義務づけられています
本投稿は、2019年07月16日 17時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。