業務委託と手当
個人としてある会社から新規事業立ち上げのプロジェクトの依頼を受けた場合、
会社がプロジェクト上で支出した業務委託報酬以外の費用は贈与扱いになってしまいますか?
例:商品開発にかかる研究費、出張代等
また、業務委託者に対して借上社宅の適用は可能なのでしょうか。
ご回答よろしくお願いいたします。
税理士の回答

佐藤和樹
1. 会社が支出した業務委託報酬以外の費用(研究費・出張代など)は贈与扱いになるか?
基本的には贈与扱いにならないが、契約の形態によっては課税対象になる可能性があります。
ポイント
• 業務委託契約の範囲内で発生した費用(研究費・出張代)は、適正な契約や経理処理を行えば贈与ではなく、業務上の費用として処理可能。
• ただし、契約書で明確な規定がないまま、会社が業務委託報酬とは別に費用を負担すると「個人的な利益」と見なされ、贈与税の対象になるリスクがある。
適正な処理方法
1. 契約書に「業務遂行上必要な経費は会社が負担する」と明記
• 研究費、出張代などの具体的な費用項目を記載。
• 「実費精算方式」(領収書に基づいて会社が直接支払う or 実費を委託者に支払う)を明確にする。
2. 会社が直接支払う形にする
• 例:商品開発の研究費や出張費を、会社が直接取引先に支払う。
• 業務委託者が負担した場合、領収書を添付して会社に請求し、「実費精算」として処理。
3. 会社から業務委託者への支払いが「経費の実費精算」であることを明確にする
• 「業務委託報酬」とは別枠で、「経費精算」として処理する」
• 例えば、「報酬50万円+実費経費10万円」のように区分。
リスク(適切に処理しない場合)
• 業務委託報酬として一括支払いし、経費部分を証明できないと「贈与」や「追加報酬(課税対象)」と見なされる可能性あり。
• 「実費精算」の証拠(領収書や契約書)がない場合、所得税や消費税の対象になることも。
2. 業務委託者に借上社宅の適用は可能か?
・業務委託者には通常の「借上社宅制度(福利厚生)」は適用不可。
・ただし、「業務遂行上の必要性がある」場合、会社が「業務用の拠点」として負担する形で対応することは可能。
借上社宅(福利厚生)の適用ができない理由
• 社宅制度は基本的に「従業員(給与所得者)」向けの福利厚生制度。
• 業務委託者(個人事業主)は、会社の従業員ではないため、社宅制度の適用外。
• 会社が負担する場合、業務委託者の「報酬」とみなされ、所得税の課税対象になる可能性が高い。
可能な対応策
1. 「事業用の拠点」として、会社が賃貸契約をする
• 会社が契約し、業務委託者の住居としてではなく、「事業用スペース」として扱う。
• 例:「業務委託者の業務遂行のための拠点として使用する」という契約を明記。
2. 業務委託者に対して「家賃補助」として支給する
• 会社が「家賃補助」として業務委託者に支払う。
• ただし、この場合は業務委託報酬の一部として課税対象(所得税の対象)になる。
リスク(適正に処理しない場合)
• 会社が「業務委託者の家賃」を負担し、これを「福利厚生費」として処理すると、税務調査で否認される可能性が高い。
• 会社が家賃を負担する場合、業務委託者の報酬とみなされ、源泉所得税の対象となる。
本投稿は、2025年02月20日 10時20分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。