貸倒できるのか
ずいぶん昔のものなのですが、個人の方から回収できていない売掛金がずっと残っています。これは貸倒で損金計上はできないのでしょうか?
税理士の回答
一般論ですが,個人からの古い売掛金であっても、相手の支払能力が実質的に失われている等の事実が明らかで、その状況が生じた時にタイムリーに処理するのであれば、貸倒損失として損金計上可能と思われます。しかしながら証拠書類がない,支払不能状況がずっと前に起こっていたなどの場合は、理論的には損金算入が難かしくなると思われます。
貴社の債権の個別具体的な状況が分からないため,ご参考程度ですが,どうぞ宜しくお願い致します

三浦昂陽
貸倒損失の計上が認められるための事実があれば損金計上可能です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5320.htm
実務上は、所在不明・音信不通・相当期間の経過などといった客観的に回収不可能という事実を証明できれば損金計上を認められるケースもあります。

増井誠剛
回収不能と判断できる合理的な根拠があれば、たとえ昔のものであっても貸倒損失として損金計上することは可能です。
ただし、税務上は「債務者の資力や支払意思が明らかにない」「弁護士などを通じて督促を行ったが回収不能」などの具体的な経緯や証拠が求められます。
単に未回収であるという理由だけでは、貸倒損失とは認められず、損金算入も否認される可能性が高いです。
記録が乏しい場合でも、内容証明の送付や弁護士への相談等を経て、実質的な「債権放棄」の流れを整えることで、貸倒処理の道が見えてきます。

佐藤和樹
ずいぶん昔の売掛金でも、相手の資力喪失や弁済不能が客観的に明らかであれば、貸倒損失として必要経費にできます。
【貸倒損失として認められる要件(所得税)】
所得税基本通達 37-10 によると、主に次の3パターンのいずれかに該当すればOKです。
① 法的手続による債権消滅
• 破産、民事再生、会社更生、特別清算などで債権が切り捨てられた
• 裁判上の和解などで一部放棄された部分
→ 書類による証明が必要
② 経済的に弁済不能が明らか
以下のような状態で、相手からの回収が完全に不能な場合:
• 相手が夜逃げして行方不明
• 長年にわたり連絡が取れず、生死不明
• 財産も資力もなく、少額訴訟などのコストにも見合わない
• 自然人で無資力(無職・無資産等)
この場合、「継続的な督促の証拠」「最終的に諦めざるを得ない証拠」などが必要です。
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③ 少額で継続的取引が終了したもの(事実上の放棄)
• 取引が終了している(1年以上など)
• 売掛金が少額(例:1万円未満~数万円程度)
• 相手への督促があっても支払いの見込みがなく、取引継続の意思もない
→ このパターンは比較的柔軟に認められやすいです。
本投稿は、2025年07月30日 15時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。