法人が社宅を購入した場合の決算処理について
課税事業者になって初めての申告となる3期目の法人です。
簡易課税、税抜経理方式を採用しています。
期中に法人で社宅を購入し、その会計処理についてネットで情報を収集していたところ、以下のような情報を見つけました。
簡易課税、かつ、税抜経理を採用している場合に、以下の要件に該当すると繰延消費税額等の問題が発生する
「仮払消費税等の金額>みなし仕入控除税額等」に該当し、かつ、一の資産につき20万円以上の固定資産に係る控除対象外消費税額等があるとき
繰延消費税に関する理解が不足しており、質問があります。
私の理解では
・今回の社宅購入で「控除対象外消費税等」が発生する(社宅を買って消費税を払ったがその消費税は仕入税額控除できないため。)
・「控除対象外消費税等」は、消費税上控除できないだけで、法人税上は、原則として支払った年度に全額損金にできる(租税公課)。
・繰延消費税として処理する必要があるのは以下の二つの要件をどちらも満たす場合( 課税売上割合が80%未満かつ「控除対象外消費税等」の発生額が20万以上)
と認識しています。
これに基づき、建物を購入時に払った消費税は200万以上ですが、課税売上割合が99%あるため、今回は「繰延消費税」の会計処理は不要で、特別な処理は何もなく決算を進められると思ったのですが、なにかすることがあるのでしょうか?
決算処理では、減価償却の計算は終わっています。
ネットの文中に書かれていた「仮払消費税等の金額>みなし仕入控除税額等」に該当とはどういう意味でしょうか?
ご教示いただけますと幸いです。
税理士の回答

平塚充孝
ご認識の通り特別な処理は必要ありません。
「仮払消費税等の金額>みなし仕入控除税額等」はおそらく消費税の納税額を決算整理仕訳した際に、仮払消費税額等と消費税納税額の合計額が仮受消費税額より大きくなるため、差額として損失が出るケースを指しているものと思われます。
その場合は控除対象外消費税額等が発生し、課税売上割合などの条件に合致した場合、繰延消費税額として複数年で償却することとなります。
ご相談のケースでは課税売上割合が99%とのことですので、一時に損金経理しても問題ありません。
ご回答いただきありがとうございます。
特別な処理が不要であることを確認でき、非常に安心いたしました。
ただ、一点だけ気になることがあります。
税務署に電話で確認したところ、対応された方の説明では、
控除対象外消費税等とは、
①本則課税であること
②税抜経理方式を採用していること
③課税売上高が5億円を超えるか、課税売上割合が95%に満たないこと
上記の条件をすべて満たす場合において、仮払消費税等の金額の内で仕入税額控除の対象外となるもの、とのことでした。
つまり、これらの条件に当てはまらない限り、そもそも控除対象外消費税等が発生しないとのことでした。
しかし、私の調べた範囲では、簡易課税でも税抜経理であれば、控除対象外消費税等が発生し、繰延消費税の処理が必要なケースが存在するという情報が得られました。
この点についてお伺いできれば幸いです。

平塚充孝
税務署の回答の意図は分かりませんが、簡易課税の場合でも税抜経理方式を採用している場合は控除対象外消費税等が発生する可能性はあります。
ご回答いただき心から感謝申し上げます。頭が混乱していた状態でしたが、ご丁寧なご説明によりすっきりと理解できました。非常に助かり、かつ勉強にもなりました。改めてお礼申し上げます。
本投稿は、2024年01月17日 20時29分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。