株主に対する配当金について
いつもありがとうございます。
タイトルの件で質問です。
当社は毎年、株主に対して配当金を支給しています。
支給前には株主に対して郵送で振込口座の確認をしています。
しかし、昔から株主である方には、所在地不明で返ってきてしまいます。
そのため、毎年の決算で未払配当金が120万程溜まっています。
今後も溜まる予定です。
いずれは処理をしないといけないと思いますが、
税法上でしてもいい方法等ありますでしょうか。
また、こういったケースをご対応経験があられる先生は
どう対処したか教えていただければと存じます。
税理士の回答

中野一夫
「株主に対する通知や催告が五年以上継続して到達しない場合」には,それ以降,当該株主への通知や催告は不要となります(会社法196条1項)。
これを「所在不明株式」といいます。
ご質問の中心である,所在不明株式の未払配当金につきましては,
まず,定款に配当金の除斥期間が定められている場合,その期間が3〜5年と合理的なものであれば,その除斥期間が経過することによって,支払義務を免れることができます。
定款に除斥期間が定められていない場合には,民法の消滅時効の規定にしたがいます。
この場合,株主が権利を行使することができることを知った時から5年,客観的に権利を行使することができる時から10年で消滅時効が完成します。
通知や催告が不到達ということであれば,株主が権利行使できることを知らないケースが多いため,消滅時効は10年ということになりそうです。
除斥期間経過,又は,消滅時効が完成した場合には,未払配当金は雑収入などの益金に算入することとなります。
所在不明株式については,もしご相談者様の会社の株式が市場価格のない株式であるとすると,競売又は裁判所の許可を得て売却することができます(会社法197条2項,3項)。
今後も所在不明株式について未払配当金が増え続けることを回避したい場合には,競売又は裁判所への売却許可の申し立てを行うことがよろしいかと思われます。
ご質問への回答になっていれば幸いです。
本投稿は、2021年08月02日 15時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。