合同会社の税金はいくらかかる?税額シミュレーション付きで解説

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合同会社の税金はいくらかかる?税額シミュレーション付きで解説

著者: 河野 雅人 公認会計士・税理士

合同会社は2006年から新たに設立できるようになった法人のひとつ。株式会社に比べて設立費用が安く、規制が緩やかなこと、さらに個人事業主と比較して節税メリットがあることから、法人設立時に合同会社を選択する人も増えています。

この記事では、合同会社の税務上のメリットと、かかる税金を税額シミュレーションと共にわかりやすく解説します。

目次

合同会社にかかる税金

合同会社は、税務上、株式会社と同様に「普通法人」であるため、かかる税金は基本的に同じです。具体的には法人税や法人住民税のほか、消費税などがかかります。

法人税

法人税とは、主に株式会社や合同会社などの法人が事業活動を通して得た各事業年度の所得にかかる税金です。

個人事業主であれば「所得税」を税務署に申告・納税しますが、法人の場合は「法人税」を税務署に申告・納税することになります。

法人税額は、各事業年度において得た所得に対して一定の税率を掛けた金額となります。

法人税額 = 所得 × 税率

法人税の税率は、累進課税の所得税と違い、以下のように法人の規模と所得額によって異なります

  • 資本金1億円以下の中小法人の場合:年間所得800万円以下の部分が15%(軽減措置)、年間所得800万円超の部分は23.2%
    ※小規模法人に対して軽減措置が設けられており、軽減措置の税率が適用できます。
  • 中小法人以外の場合:23.2%
平成31年4月以後に開始する事業年度
区分税率
普通法人※1中小法人※2年800万円以下の部分:15% 適用除外事業者(前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小企業者)は19%
年800万円超の部分:23.2%
中小法人以外23.2%
※1 普通法人とは株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、一般社団法人などのこと ※2 中小法人とは普通法人のうち資本金または出資金が1億円以下の法人のこと

法人住民税

法人住民税とは地方税のひとつで、行政サービスの財源となります。

都道府県民税(区民税)と市町村民税があり、会社が所在している都道府県と市町村に対してそれぞれ納税します。また、法人住民税には均等割と法人税割があり、これらを合算した額が納税額となります。

【均等割】
均等割は、法人の規模に対して納税額が決められており、所得に関わらず赤字であっても納付することになります。

納税額は、都道府県民税では資本金等の額で、市町村民税では資本金等の額と従業者数によって決まります。

【法人税割】
法人税割は、法人税の額をベースに計算します。法人の所在する都道府県や市町村によって金額やその決定方法は異なります。

東京都では「資本金の額が1億円以下かつ法人税額が1,000万円以下の法人」には標準税率が適用され、それ以外の法人には超過税率が適用されます。

法人事業税

法人事業税とは、法人が行う事業に対して課せられる税金で、法人住民税と同じく地方税のひとつです。

法人事業税には、給与や利息、賃料などの額に応じた「付加価値割」、資本金等の額に応じた「資本割」、所得に応じた「所得割」があります。ただし、資本金1億円以下の法人の場合は「所得割」のみとなります。

法人事業税の税率は、資本金額や所得などに応じて標準税率、超過税率のいずれかが適用されます。加えて一定の条件に該当する場合には、軽減税率が適用されます。

法人事業税

消費税

消費税は「消費税」と「地方消費税」とを合算した金額を納税します。消費税の計算は原則的な計算方法(本則課税)または簡易課税を選択することができます。

【原則的な計算方法(本則課税)】
原則的な計算方法では、「課税売上にかかる消費税額」から「仕入控除税額(課税仕入等にかかる消費税額) 」を差し引いて納税金額を求めます。この方法は、消費税額を算出するにあたり、実際の取引に従って計算する方法です。

【簡易課税】
原則的な計算方法では、売上、仕入のそれぞれで課税区分ごとに税額を計算する必要があり、計算が煩雑になります。そこで、特定の要件を満たす場合には、「仕入控除税額」をみなし仕入率によって計算する「簡易課税制度」を適用することができます。

簡易課税は「消費税額= 売上税額 - 売上税額 × みなし仕入率」という計算式を用います。みなし仕入率は事業区分に応じて40〜90%となります。

そのほかの税金

他にも税金の対象になるものを保有している場合は、その税金も納めなければなりません。代表的なものとしては、以下のような税金があります。

【自動車税】
自動車を保有している場合は、自動車税がかかります。

【固定資産税(償却資産税)】
固定資産税は、会社名義で保有している土地や建物など、固定資産に対して課せられる税金です。税率は基本的に課税標準額の1.4%となっています。また、パソコンや事務用機器など償却資産に対しては償却資産税がかかります。

合同会社の税務上のメリット

合同会社は、個人事業主と比較して次のような税務上のメリットがあります。

1)所得税より税率が低い法人税が適用される

個人の所得税率は所得に応じて税率が増える「超過累進税率」で最高税率は45%です。これに対し、法人税は固定税率で会社の規模や所得に応じ、15~23.2%となっています。

たとえば、所得が年800万円なら個人の所得税では23%が適用されますが、資本金1億円以下の合同会社では、法人税率は15%となり、法人税の方が適用される税率が低いことになります。

2)経費にできる範囲が広い

合同会社として法人化することで、個人事業主として活動していたときより、経費として計上できる範囲が広くなります。代表的なものに役員報酬や、家族への給与社宅の利用、生命保険料などがあげられます。

個人の場合は、自分に給料を支払うという概念はありません。また、家族など親族への給料も原則経費として認められていません。

このほか、自宅として使用している賃貸物件も会社名義で賃貸することで、社宅として利用することができるという点もあります。

さらに、生命保険料について、個人の場合は金額に応じた控除額になりますが、法人名義の場合は、一定の要件のもと、経費として計上することが可能となります。

3)給与所得控除が受けられる

個人事業主では、個人の年間の事業所得すべてが所得税の課税対象となり、所得が増えれば増えるほど、多額の税金を納めることになります。

一方、合同会社を設立し、自身に役員報酬を支払うこととすれば、所得を法人の所得と個人の所得に分けることで、節税することができます。

役員報酬は法人の経費に算入することができます。また、役員報酬は一般の給与所得と同様に、収入金額に応じて給与所得控除があるので、その分節税することができます。

つまり、法人を設立し、自身に役員報酬を支払うことで、法人と個人の二重で節税が可能になるということです。

4)消費税納付の免除が最大2年間受けられる

消費税課税事業者であるか否か、つまり消費税を納付する義務があるかについては、前々年の売上高が基準となります。言い換えれば、法人化した年と翌年は、前々年は事業をしていない状態ですので、消費税は免税となります。

ただし以下の条件があります。

【消費税免税のための条件】
・会社設立時の資本金が1,000万未満
・第1期の上半期における課税売上高1,000万以下または人件費1,000万以下

この免税の要件を利用すれば、個人事業として事業を開始して翌々年に法人化をすることで、個人の2期分と法人化後の2期分を合わせて、消費税納税義務が最大4年間免除されます。

インボイス制度と法人成りについて

2023年10月からインボイス制度が導入予定です。これにより、免税事業者からの仕入税額控除が廃止されることになります。

そのため現在、免税事業者である場合、インボイス制度導入に合わせて課税事業者になるか、免税事業者のままで消費税の請求を取りやめるかの選択をしなければなりません。

法人化により免税期間を最大限利用したいのであれば、早急に法人化するなどの対応を検討する必要があります。

5)赤字を10年間繰り越せる

青色申告法人は赤字(欠損金)が生じた場合、翌年以降の課税所得から差し引くことができます。これを「欠損金の繰越控除」といいます。

たとえば、設立1年目に300万円の欠損金が出たとします。そして、2期目に200万円の黒字となった場合に、1期目の赤字と相殺することで2期目の所得金額をゼロにすることができ、その分節税が可能となります。

さらに、相殺しきれなかった欠損金の残額100万円については、3期目以降の黒字となお相殺が可能となります。

個人事業主の場合、繰り越せるのは最長3年ですが、法人の場合は最長10年間繰り越すことができます

6)相続発生時にも節税になる

不動産オーナーなど資産家と呼ばれる人は相続税対策として、資産管理会社として合同会社を設立するケースがあります。

これは、資産を管理会社に引き継ぐことで個人の所有から切り離し、税務上の優遇措置を受けることを目的としています。合同会社は設立コストを抑えられるため、資産管理会社として設立する場合に適しているのです。

注意点として、資産家である社員が死亡したときに、相続人が出資を継承できるようにしておく必要があります。

具体的な解決策として、合同会社の定款において、「社員が死亡した場合には、当該社員の相続人が当該社員の持分を承継して社員となることができる」旨を定めておく必要があるということです。

相続人のうち誰が出資持分を継承するかについては、相続人同志の話し合い(遺産分割協議)で決定し、特定の相続人に引き継ぎたい場合は、遺言にその旨を記載します。なお、社員の死亡によって出資持分を相続した相続人は、合同会社の社員として経営に携わることになります。

合同会社の税務上のデメリット

ここでは、合同会社のデメリットについても見ていきましょう。

合同会社では、たとえ赤字であっても法人住民税の均等割が年7万円かかります。

また、会社の経理処理や税金計算は、個人事業主と比べて複雑です。ほとんどのケースで税理士に依頼することになり、その依頼費用もかかります。

このほか、社員ひとりで創業する場合であっても社会保険への加入義務があることにも留意しましょう。

いくらかかる?合同会社の税額シミュレーション

ここでは、以下の前提条件のもと、個人事業主の場合と合同会社を設立した場合とでどのように税額が異なるかシミュレーションしてみました。

【前提条件】

・事業者の区分 : 普通法人で適用除外事業者非該当
・所在地 : 東京都千代田区(本店のみ)
・資本金 : 1,000万円
・従業員数 : 1人
・事業年度 : 2022年(令和4年)4月1日~2023年(令和5年)3月31日
・役員報酬 : 300万円

なお、便宜上簡易化して計算しているため実際の納税額とは異なります。

事業利益300万円の場合

事業利益300万円のシミュレーション

事業利益500万円の場合

事業利益500万円のシミュレーション

おわりに

合同会社は、税金面では株式会社と条件は同じです。しかしながら、設立費用が安く、機関設計など自由度が高いことから、今後ますます注目が高まる法人形態となることでしょう。

ただし、法人化によるメリットは、事業規模や事業目的など個々の事情によって異なります。赤字でも最低年7万円の経費が発生するなどのデメリットも踏まえ、設立前に税理士などの専門家に相談・シミュレーションを依頼して、自身にとって最適な選択ができるようにしましょう。

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