同人活動の確定申告が必要になるのはどんなとき?既刊などの在庫は計上に注意!

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同人活動の確定申告が必要になるのはどんなとき?既刊などの在庫は計上に注意!

監修: 上村 大輔 税理士

同人誌やオリジナルのグッズ、二次創作物などを作って販売する「同人活動」でも、売上が発生しているのであれば税金と無関係ではありません。本業か副業か、ネット通販かコミケ出展かなどのには関わらず、同人活動で利益を得ると「確定申告」が必要になる場合があります。

もし赤字であっても、経費のレシートや売上の帳簿がないと、万が一税務署から“お尋ね”が来た際に経費として認められず、のちのち税金が課される恐れもあります。

同人活動を楽しく正しく行うためにも、同人活動と税金の関係について理解しておきましょう。

目次

同人活動で確定申告が必要な人は?

確定申告が必要になるかどうかは、その同人活動が「専業」「副業」かで変わります。

同人活動を副業としている方(※1)は1年間の利益(所得)が20万円を超えた場合(※2)に、確定申告の手続きが必要になります。

一方、同人活動を専業としている方は、所得の合計額が所得控除額(最低48万円の基礎控除があります)を超える」場合に、確定申告の手続きが必要です。

※1 本業の会社での年末調整だけで税金の計算が完結する方
※2 本業の給料と同人活動以外に他の所得がある場合には、それらも含めて判定します

同人誌・同人ゲーム・グッズなどを販売したとき

同人誌・同人ゲーム・グッズなどを販売する場合には「売上」が発生します。

売上とは、基本的には販売額を指し、たとえばコミケ会場で同人誌を販売した場合は、その場所で販売して得たお金の合計額が「売上」です。

委託販売やダウンロード販売も基本的に考え方は同じですが、これらの場合、販売額から販売手数料などを引いて入金された額を売上額として計上することも可能です。

確定申告が必要な所得というのは、売上から各種経費を引いた額のことをいい、同人活動の場合は、制作段階で支出した支払いなどが「経費」となります。

具体的には、「冊子印刷代、グッズ制作費、イベント参加費、イベントへの旅費交通費、作品の発送費、文具代、イラスト作成ソフト代、打合せ飲食費、参考書籍代、コスプレ衣装代」などが当てはまります。

コスプレ撮影でギャラをもらったとき

コスプレイヤーや被写体の方は写真集やROM販売以外に、撮影モデルやイベント招待を受けた際にギャラが発生する場合があります。

また、自身で撮影会などのイベントを開催して収益を得ている方もいると思いますが、これらの合算が「売上」となります。

このような場合は、イベント参加費やグッズ制作費以外に「衣装・メイク代」も経費として認められる可能性が高いでしょう。

経費として計上する際の注意点

経費として認められるためには、領収書やレシートが必要になるため、必ず保管しておきましょう。

もし領収書がもらえないような場合は、「出金伝票」を作成することで、経費として認められる場合がありますのでこちらも忘れないようにしてください。

また、購入したものが本当に同人活動に必要なものであるかの証明や、支出内容が後々でも分かるように「誰とどのような目的で費用を使用したか」などのメモなどを残しておくとよいでしょう。

ただし経費になると思っていた支出でも、実際には経費として認められない場合や、一部の額しか認められないものがあります。

たとえば、コスプレイヤーの場合、すべての化粧品が経費として認められるとは限りません。普段使いが考えられる基礎化粧水や、ファンデーションなどのベースメイク用品は経費として認められない可能性もあります。

また、同人誌を制作しているからといって自宅の家賃光熱費の全額を経費として計上することは難しいでしょう。

その場合は、同人活動とプライベートで使用している時間や部屋の面積などから、使用割合を計算し、家事按分をして一部の費用を計上するという方法があります。

棚卸しに注意!

冬コミ後、年末時点で作品の在庫が残っていることがあると思います。この在庫分に関してはその年の経費として計上できません

在庫があるかどうか、年末時点で作品ごとに在庫数を確認し、印刷単価などをもとにして在庫分の金額を集計する必要があります。

たとえば、1冊あたり制作に200円かかる同人誌を100部制作し、70部が売れ、残り30部が在庫として残ったような場合、経費として計上できるのは販売した70部分だけです。30部に対応する費用はその年に経費として計上できません。

つまり「200円×70部=14,000円」しか計上できないということなので、年末時点での在庫数と経費の関係には留意しましょう。

住民税申告を忘れずに!

副業で「同人活動での利益が20万円以下だから、税金なんて関係ない!」と思われている方は注意が必要です。

確定申告が不要というのはあくまで「所得税(国税)」に関する話で、「住民税(地方税)」に関しては申告が必要となる場合があります。

税務署で所得税の確定申告を行うと、その情報が地方公共団体(自治体)に送られるため住民税の申告は不要ですが、所得税の確定申告を行わない場合には、住民税だけの申告が必要となることもあるので自治体に確認しましょう。

確定申告の手順

申告・納税手続きは毎年1月1日~12月31日の所得を翌年2月16日~3月15日までに行います。

確定申告が必要かどうかの判断基準を理解したところで、実際に確定申告を行う際の手順をみていきましょう。

1. 確定申告に必要な情報整理

確定申告をする前にまず必要なことは以下の3点です。

  1. 売上がいくらあるか把握する
  2. 同人活動での経費を把握する
  3. 利益(=所得)がいくらあるかを計算する

同人活動での所得がいくらあるのかを、しっかり把握した上で、申告書の作成にうつりましょう。

この際に、領収書やレシートなど売上や経費の証拠となる書類を整理しておくと、なおよいです。

2. 申告書の作成

申告書は最寄りの税務署で入手するか、もしくは国税庁サイト「確定申告書等作成コーナー」にて直接入力することで作成できます。

事前手続きをすればインターネットから、電子申告・納付までできる「e-Tax」という制度もあるので、自身にあった方法を選択しましょう。

確定申告がはじめてという方は、税務署でやり方を聞いたり、税理士に手続きをすべて丸投げする方法もあります。

3. 申告書の提出

申告書は管轄の税務署に持参するか、郵送、またはインターネット上で提出する方法があります。

提出時には「必要書類に漏れがないか」「記入事項に漏れがないか」をしっかりと確認してから提出するようにしましょう。なお、経費の領収書などは申告書と一緒に提出する必要はありません。

確定申告を間違えてしまうと、後から修正申告などを行う必要が生じ、二度手間となってしまいますので注意が必要です。

4. 税金の納付・還付

税金の納付が必要な場合には、期日までに所轄の税務署または金融機関に支払います。期日は翌年原則3月15日までです(※休日にあたる場合は翌営業日)。

納付方法は現金支払いのほか、振替納税(口座引落し)などの方法があります。振替納税の手続きをすると、納付期日が少し遅くなり、4月20日に口座から引き落としになります。

税金の還付を受ける場合には、提出から約1~2か月ほどで申告書で指定した金融機関に振り込まれます。

同人活動における税金で注意すべきこと

同人活動とは切っても切れない税金の問題の中でも、特に注意すべきことを確認していきましょう。

赤字の時に注意すること

ここまでの解説で「自分は赤字だから申告しなくてもよいのでは?」と思われている方もいるかもしれません。

確かに赤字の場合は確定申告の手続きは不要です。ただし、帳簿付けをしなくてよい訳ではありません。

もし税務署からお尋ねがあった際に、帳簿付けをしていなかったために赤字であることを証明できないと「推計課税」に基づいて税金が課される可能性があります。

推計課税とは、帳簿資料がないために収支の実態がわからない場合や、帳簿の信用性がない場合などに、税務署が納税者の財産の増減や収支の状況、同業者との比較などして、所得金額を推計し、課税額を決定する制度のことです。

推計課税が適用されると、本来であれば納めなくてよいはずの税金が課されてしまうかもしれません。

そのため、売上や経費を証明するための証拠は、確実に手元に残しておきましょう。特に、現金取引のため証明が難しいイベントの売上高については、イベント後すぐに売上を通帳に入金しておくなど、日々の管理が大切です。

レシートを失くし、帳簿もない場合は?

「申告が必要だと思わなくて、経費のレシートや売上の帳簿など、なにもない」という場合は、可能な限り売上や経費の証拠になるものを集めて、すぐにでも帳簿の作成を行いましょう。

たとえば、Amazonなどネットショッピングを通じて購入した場合であれば、注文履歴から領収書が再発行できる場合があります。

また、事業者によっては一定期間内であれば領収書の再発行をしてくれることもあります。あとは集めた証拠に基づいて、帳簿の作成をしましょう。

「帳簿をつけるのが面倒」「帳簿の書き方がよくわからない」という場合は、無料で使えて自動で取引情報を残してくれるクラウド型の会計ソフトがおすすめです。

無申告はいつかバレる

「もっと稼いでいる人がいるから自分には税務調査なんて来ないだろう」「みんな申告していないから大丈夫」などと考えていても、絶対に税務署に目をつけられないという保証はありません。

今現在はそこまで儲かっていなくても、将来的にジャンルの人気の波などにより予想外にヒットした場合に税務調査が入り、過去3~5年分の収支を遡って調査される可能性もあります。

確定申告が必要であるのにも関わらず行なっていない場合、本来納めるべき税金に加えて、延滞税や無申告加算税といった追徴課税が課されてしまいます。

取り返しがつかなくなる前に、確定申告・住民税申告の手続きや帳簿付けなどをきちんと行いましょう。

確定申告で同人活動バレを防ぐ方法

中には、確定申告によって「勤め先に同人活動を知られないか?」と心配する人もいるでしょう。

結論からいうと、確定申告をすることで同人活動が職場にバレることはありません

ただし、同人活動で得た所得分、会社から特別徴収される住民税額が増えるので、本業以外に収入があるということは知られてしまいます。しかし、それがどういった収入かまでは分からないため、同人活動が職場バレすることはないのです。

もし、本業以外に収入があること自体を知られたくない場合は、確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」において「自分で納付(普通徴収)」にするという方法があります。これにより副業部分の住民税は自分で納めることになるので、勤め先に副業していることが気づかれにくくなります。

しかし、必ずしも普通徴収にできるわけではなく、その判断は住民税を管轄する各自治体が行います。確定申告による同人バレはありませんが、副業バレを絶対に防ぐ方法はないというのは覚えておきましょう。

おわりに

同人活動を趣味として行なっていても、所得が発生していれば課税対象となる可能性があります。

今まで売上高の管理や経費領収書の整理をしていなかったという方も、いざ確定申告が必要になった際に困らないためにも、これを機にはじめてみるとよいでしょう。

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